寄せ集め。 (ページ31)

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「まぁAにふかだは勿体なかったよね」

『あんたそのセリフ失恋直後の女の子慰めるのに二度と使っちゃダメだよ』

「あ、そう？……てか俺が慰める女の子なんてAぐらいだけど」

『私でもアウト、普通に。ばかやろう』

あぁ、思い出したらまた泣けてきた。
なんで？私結構がんばったよね！？
だいぶ垢抜けたんじゃない？なんて昔の写真見返して思ったばっかりだったのに。

もう、いっそ翔馬のこと好きになれたらよかった。
だって絶対幸せじゃん。気使わなくていいのめっちゃ楽。ポンコツだけど。深田先輩ほどイケメン！って感じじゃないけどかわいいし。癒し効果なら抜群だし。ポンコツだけど。

「だからほら、30まで頑張んなさいって言ってんでしょ？」

『……え、さっきの本気だったの？』

「いやAが一生独身楽しめるならいいけど」

『無理。ドレス着たい指輪欲しい』

「えなんか思ってたんと違う」

だってどれも女の子の夢でしょ？
もちろん幸せな家庭だって築いてみたい。んー子ども二人は欲しいな。

きい、と音を立ててブランコが揺れる。
そこから翔馬のほっそい足がぷらぷらとぶら下がっていた。

「けど割と本気で、Aのことまともに相手出来るのって俺ぐらいだとおもうよ？」

『深田先輩』

「諦めわるいねぇ」

『あったりまえじゃん三年だよ！？私もうすぐ大学生なるんだよ！？』

「あーーわぁかったわかったごめんって」

やっぱバンドマンとかだめなんだよ。そう呟いた。
こいつ、慰める気ある？
さっきから傷口に塩を塗りたくられている気がする。

『もーなんかお腹すいた』

「ん」

差し出されたのはパックのトマトジュース。
私が買った飲み物を勝手に飲んで、それから我が物顔で手渡してくるのもいつものことだ。
ジュースってお腹すいたから飲むものだっけ？なんて泣きすぎて回らない頭で考えた。

「帰ろ」

ぴょんと軽々しく飛び降りたブランコ。
言葉とは裏腹に何故か翔馬は私の目の前に立つ。

『えなに、っ』

ブランコの鎖を掴む私の手に重なった翔馬のそれ。
ぬいぐるみみたいなまるい瞳が近づいて。
視界が翔馬でいっぱいになった。

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