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えーと5組5組、こっちだっけ?あ、いた!
休み時間なのにごめんね〜でもきみが悪いんだよ。
「ねぇちょっといー?」
何人かで固まって喋ってた、おれより背の低いそいつに声をかける。名前なんだったっけ、わすれちゃった。
返事とか聞く前に腕をひっぱる。
なんか言ってる気がするけどずんずん階段を登って屋上に繋がる扉を開けた。
そいつをどんって向こうにやってちょっと詰め寄る。
んーやっぱこいつ失格だなぁ。
「ねーねーきみさぁじぶんの立場わかってるー?」
「っなにが、だよ、」
ゆらゆら揺れるそいつの目。
こんくらいで怯えるの?まだおれ何にもしてないよ。
「おれに呼ばれるってことはそういうことでしょ、自覚、あるよね?」
わかってたみたいに息を吐いた。おれを見上げる。
「…Aのことかよ」
「は?」
思わず飛ばした舌打ち。
ほんときみどういうつもりなの?
「呼び捨てとか何様?そんなにきみ偉いの?それともばかなの?」
こないだたまたま耳にしたこいつとAの話。
委員会が一緒なんだってさ。これを機に距離詰めようとかほざいてるらしいけどさせる訳なくない?
Aはおれの。
「っお前こそなんなんだよ。Aと仲良くなった男いちいち潰し、」
「幼なじみ、だけど」
被せるようにそう言って睨みつける。
だからなんだよって言いかけたそいつに言った。
「生まれた時から隣にいんだよ。……お前なんかとは違う」
Aしってる?おれ、こんな低い声出せるんだよ。
顔を近づけたらそいつの背中が壁に当たって、動けなくなった。
あーあ、出しゃばんなきゃいいのにね。
黙ってそのへんの女の子に手出してればいいの。
よりによってA選ぶとか絶対ゆるさない。
おれのかわいいAを、他のやつに渡すわけないでしょ?
「わかったら二度とAに近付くなよ」
そいつはおれを睨むだけで何にも言わない。
それくらいの覚悟でよく呼び捨てなんて出来たね?
こいつがおれのことを周りに言いふらそうと別にどうだってよかった。
だっておれがこんなことしてるなんて、Aが信じると思う?
文句もたくさん言われるけど、Aはおれのことが大好きなんだよ。
Aのいちばんはおれで、Aの特別もおれ。
ずっとそうやって決まってるんだからさ、馬鹿みたいな下心でAに近付くやつらなんてみんな、消えちゃえばいい。
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作者名:らら | 作成日時:2021年7月17日 13時