寄せ集め。 (ページ23)

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ただただしゃくり上げ続けるAちゃん。
不規則な息遣いが苦しくて。

もし俺がAちゃんの彼氏になれたら。
Aちゃんが、あいつじゃなくて俺の方を向いてくれたら？

そしたら絶対、毎日でも笑わせてあげるのに。
邪魔になるだけかもしれないけどご飯だって一緒につくりたい。
その辺歩くだけの散歩みたいなデートでもちゃんと楽しくしてあげるよ。たまには車で遠出してみたりもしてさ。
家では別にすっぴんでいいし、なんなら俺はその方がすき。俺のスウェット貸したげるから、それ着てにこにこしててくれればいい。
万が一喧嘩したりなんかしちゃっても他の男に涙拭わせたりとか絶対しない。ごめんねって許して貰えるまで謝るから、ふたりでゆっくり話そう。

それでも、あいつの事を選ぶんでしょ。

幸せな時はAちゃんは俺の前には現れないし、きっと友達には俺の話なんかしない。

俺が彼女に会うのは彼女がぼろぼろになった時だけだから、いつかは二度と会わなくなる日がやって来る。
来てくれなきゃ困る。

『嫌われたく、っないの』

「…うん、」

『彼にだけは、嘘ついてでもっ』

俺の肩がじんわりと濡れていく。
彼女の想いが俺に向くことはなくても、何もしないよりはマシだから。

「そっか」

分かった、分かったよもう。
これまでまともに殴られたことすらない俺にはそんなこと言う資格ないかな。

苦しすぎる幸せを手にして藻掻いてる彼女はもしかしたら明日にでもあいつと対等に向き合えるようになるかもしれない。
そうなればもう、彼女に俺は要らない。

ありがとう。
俺のとこに来てくれて。

今までしてきた恋のどれと比べたって確実に全然楽しくない恋だったけど。
Aちゃんを傷付けるのはずっとあいつで、俺はその傷の治りをちょっと早くすることくらいしか出来ない。

普段より機嫌よく帰ってきただけで彼女にあんなかわいい顔をさせられるあいつがほんとは羨ましくて仕方ない。
当たり前のように隣にAちゃんがいて、何をしたってすきだよって笑ってくれる。

そんな相手になる為には何が足りなかったんだろう。
出会い方も、関わり方も、きっと全部だな。
じゃあもう無理じゃん。

今日も送り届けてなんてあげられないけど、ちゃんと帰ってね。

俺にしなよとか、キザ過ぎて性に合わないから今回も言えないけどさ。

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