寄せ集め。 (ページ19)

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奇妙な、／なおページ19

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いたい。
そう思ってカーテンを開けると案の定外は土砂降りで。

重たい瞼をどうにか持ち上げて手に取ったスマホに

“ あたまいたい “

“ しぬ “

なんてそれだけを送り付けて投げ捨てた。
それと一緒に逆戻りしたベッド。
沈んだのは体重の分だけなはずなのにどこまでも落ちていってしまいそうな感覚を覚える。

いっそこのまま消えてしまえれば、なんて口にしたら君はなんと言うだろうか。

少しでもはやく声が聞きたくて、触れたくて。

顔を埋めたまま数分、永遠にすら感じるほどの時間が過ぎてチャイムの代わりに響いた鍵の回る音。

目を閉じて、ぱたぱたと近づく気配を感じた。
何かを買ってきたのかちいさくレジ袋の擦れる音がする。

そんなのどうだっていいから、はやく。

『、なお』

見なくたってわかる、眉を下げて言われたそれ。
おそいよばか。

『大丈夫、？』

そんな声にようやく顔を上げると首を横に振った。
おいで、って広げられる両手。
飛び込むとふわんとAの香りに包まれて。

きゅっと背中に回された手がゆっくり弾むから、やっと上がったはずの瞼がまた落ちていった。

『…いたいね、大丈夫だよ』

Aとこうしている時だけは全部を忘れられる。
雨が降る度やってくるこの痛みも、昨日あったいやなことも、明日の不安も全部。

無条件で丸ごと受け止めて、優しく名前を呼んでくれる
Aのことがすきで、すきで、どうしようもないくらい愛おしくてたまらない。

そのくせ素直になれなくて当たったりして、ごめんねなんか言えた試しはないのに毎回、死ぬほど後悔する。
嫌われたんじゃないかって怖くて。苦しくて。
Aが隣にいない俺なんかなんの価値もないのに。

いたい、を言い訳にくっついていられる今、そんなぐちゃぐちゃな気持ちを移すみたいに首元に頭をぐりぐりと押し付けた。

くすぐったいよなんて笑うA。
普段は何考えてんだか分かんないのにこういうときだけ妙に大人っぽく見えるから、なんだか癪に障る。

雨の度に呼びつけるのはこの頭の痛みのせいだけじゃないってきっと君も分かっていて。

『髪伸びたねぇ。ふわふわしてる。』

そうただ伸びきっているだけの髪を触ってふたりにしか分からないくらい、ゆらゆらと揺れる。

あの汚れた世界に広がる灰色から俺を隠してくれるのは、いつだってAだけ。

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