子どもじゃないから ページ45
・
side 湧
今日で何かが変わる訳じゃない。
たぶん特別なことも起こらない。
だけどいつもより少しだけ早く目を覚まして手に取ったそれ。
画面に浮かび上がる名前の中に、
俺が探してる文字は無かった。
おいおいまじかよ忘れられてんじゃね？
なんて自虐も思ったより笑えない。
メンバーや地元の友達からのおめでとうにテンション高く返事をしながら思った。
まぁ別に？今日も普通に仕事だし。
だってあいつそういうやつじゃん。
その癖いつもなら帽子かなんかで適当に誤魔化す髪型もちゃんとセットしてみたりなんかして。
二年前の今日あいつがくれた香水をワンプッシュ。
微かに、昨日より背筋を伸ばして家を出た。
黒「わくおめでとー！！」
颯「おめでとーお」
湧「ありがとー！！！
元木湧、ハタチになりやした！！」
そう言って掲げた拳。
同い年いぇーいなんて平塚とハイタッチした。
深「湧くん大人かよ！」
湧「あーそーだよお前敬え？」
敬語だろ敬語！って深田の肩に腕を回して揺さぶる。
深「いたい！いたい湧くん！」
ぎゃーぎゃー騒ぐそんな声を聞きながらでかいレッスン室を彷徨う俺の視線。
青「湧さんおめでと」
湧「おーありがと」
そっと近寄ってきた青木。お祝いの言葉もそこそこに一瞬ちらりと視線を外すとほんのり笑って言った。
青「A探してる？」
湧「、別に」
青「そ？じゃあ一応お知らせ。
.........A、今日来れないかもって」
湧「は、なんで」
眉を下げて俺を見る。
もうどうせバレてんだしいいやって諦めた。
青「ドラマの撮影。ほんとはお休みだったみたいなんだけど急遽今日もってなっちゃったらしくて」
湧「.........あっ、そ」
あいつが一人仕事で来れないのは最近よくあることで、だから慣れてるはずなのにやっぱりどっか少し、ほんの少し寂しいような気がした。
ねぇ、今日くらいさ。
そう思ってもあいつは来ないから。
気にしてないみたいな顔して皆と笑って、騒いで。
ハタチになっても俺は何も変わらなかった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 409人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らら(プロフ) - 香花さん» いえこちらこそです！相変わらずゆっくりの更新ですが楽しんで頂ければと思います。 (2022年1月31日 21時) (
レス) id: 76512b9a79 (このIDを非表示/違反報告)
香花(プロフ) - ご丁寧にありがとうございました！無事お話を読むことができました。これからも楽しみにしています。 (2022年1月31日 15時) (レス) id: 2140f828c0 (このIDを非表示/違反報告)
らら(プロフ) - 香花さん» コメントありがとうございます 。準備中でしたので鍵をかけておりましたが移行が完了しましたので先ほど公開させて頂きました。このままお楽しみください。 (2022年1月31日 10時) (レス) @page50 id: 76512b9a79 (このIDを非表示/違反報告)
香花(プロフ) - はじめまして。お話の続きが読みたいのですが、パスワードのついた作品を読むのが初めてで、どうしたら良いのか分からないので教えていただきたいです。 (2022年1月28日 16時) (レス) id: 2140f828c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らら | 作成日時：2021年5月21日 12時
