今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:51,595 hit
小｜中｜大
いなくなんないで。 ページ6
･
颯「Aーー」
金曜日の夜。
窓の外から私を呼ぶふにゃふにゃした声が聞こえる。
明日も早いからってとっくに寝てる隣の湧ちゃんの部屋からは物音一つしない。
あったかくしていきなね、なんてお母さんの声を背中で聞きながら、部屋着にパーカーを羽織って外へ出た。
にこにこと待っていた声の主は 行こ、 と私を見るとすぐに歩き出す。
横に並ぶと当たり前のように指を絡められた。
目的地は海辺にぽつんと置かれたベンチ。
そこにただ、2人座って空を見上げる。
時々思いついたことをぽつりぽつりと話すこの時間が金曜日の恒例になったのはいつからだっただろう。
どんなに喧嘩をしても金曜日になればここに来て、そのうちにいつの間にか仲直りする。
2人して泣いたこともあったし、颯太のくだらない話に笑うこともある。
もう何年も通い続けたこのベンチは私たちだけの特等席だった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らら | 作成日時：2021年5月4日 13時
