問い10 ページ10
sideyou
〔Aだ。〕
赤髪〔そうか、俺は織田作之助〕
〔さくのすけ。〕
別に意味はなかった。
その場で殺してしまった方が後々のことを考えると楽なはずなのに、私は偶々殺さなかった。
そして彼も同じく私に牙を向けなかった。
それが私が彼を意識するようになった最初の邂逅だった。
時には同じターゲットを取り合い、
時には怪我をした方を治療した。
好敵手は捕まってしまったらしい。
それ以降に彼の話を聞いたのは数年がたってからだった。
私は彼を忘れたことは一度もなかったし、
それまでこの生き方に苦痛を感じたことはあれど、その苦痛にももうなれていた。
ポートマフィアに織田作之助という最下級の構成員がいる。
其奴は人を殺さないらしい。
これも本当に偶々だった。
仲良さそうに笑いながら話す作之助を二度見かけた。
1度はある咖喱屋で。
あっけにとられていると小さな子供の声が上から聞こえた。
五感がいいと仕事が楽だから、という理由で鍛えた耳は良くそれを聞き取った。
小さな彼等は作之助の話をしていた。
2度目は酒場のちかくで。
マフィアの同僚だろう二人とこれまた楽しそうに笑っていた。
〔…作之助、お前は人を殺さずに幸せになる道を選んで幸せになったのか。〕
人を殺すことばかりに使った手が酷く汚く見えた。
〔…どうか、彼が、彼等が一生幸せでありますように。〕
…叶わないことだと知っていながら。
そう願わずにはいられなかった。
Q,それは恋ですか?
A,いいえ、これは恐らく、一方的な友愛。
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作者名:エール | 作成日時:2023年3月17日 23時