ドジな後輩 ページ38
ガシャーン！
夕飯で賑わい始めた食堂に耳障りな音が響き渡る。しかしこれはいつもの事であり皆慣れていて会話が止まることは無い。
でも一人、私はイラついていた。
『ちょっとクック！いくら言ったら分かるの！』
食堂のカウンターから覗けば先程の音の原因であろう人物が落とした食器を必死に拾い上げていた。
「す、すいません」
彼のその言葉を何回聞いたものか。私は呆れながらも食器を拾う。
「本当にいつもすいません」
この人の感覚がよく分からない。普通は謝罪の前に手伝ってくれた私に感謝を伝えるべきではないのか。
私は相手をするのが面倒くさくなり無視をして仲間の会話の輪へと戻った。
後輩のクックはいつもこうだ。ドジを踏んで、みんなに迷惑をかけて、ひたすら謝って、それを笑って許すやつもいれば私みたいに相手にしないやつもいる。
それなのにクックは海賊としてこの船に乗っている。
というどうでもいい事を考えながら眠りにつこうとしていると見張りであるチップの声が聞こえた。
「敵だー！敵が来たぞ！」
真夜中でありながらも船は騒がしくなり始め、足音が大きくなると共に船が大きく揺れた。
甲板に出てみると既に敵は侵略してきてはいるものの船員が多いバルボッサの船の方が有利な状況下にあった。
私は銃を取り出し次々と襲ってくる敵を得意である護身術で交わしながら撃ってゆく。
「Aさん危ない！」
声の主の方を見るとクックがフライパン片手にこっちに走ってくる。
『ん？』
後ろを振り向いてみるとガタイのいい敵の海賊がこっちに走ってきている。私はとっさに銃で撃とうとするがクックは後ろからそれを遮り敵に向かっていった。
バコーーン！
そしてクックは敵の頭をフライパンで叩き潰した。その姿に思わず笑ってしまった。
『ふふっ』
「な、なんで笑ってるんですか！Aさん危ないところだったんですよ！」
『ごめんって。助けてくれてありがとう』
クックの持つフライパンを見てみるとベコベコにへこんでいた。
『フライパン…壊れちゃったね』
もう使えなくなったフライパンを見たクックは少し眉をひそめる。
「でもこれでAさんを助けられたと思ったらどうってことありません！」
私に向けてくれる笑顔は無理やり作ってるように見えた。
『私、クックのこと見直したよ』
「Aさんがそう思ってくれるだけで嬉しいです」
私のドジな後輩は失敗を学び周りから認められるよう努力する最高の後輩だ。
ラッキー海賊
チャンウー
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Tina_22(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます！ (2019年9月10日 13時) (
レス) id: 5c6a23ff5f (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 面白いですね！続き楽しみにしてます！ (2019年9月9日 23時) (レス) id: d253472ad9 (このIDを非表示/違反報告)
Tina_22(プロフ) - まやさん» ミステリーな感じで終わらせたかったのでご想像にお任せします。 (2019年8月20日 17時) (レス) id: 5c6a23ff5f (このIDを非表示/違反報告)
まや - 醒めない2ってどういうことなのでしょうか？ほんとは夢じゃなかったってことですか？わからなくてすみません。 (2019年8月18日 14時) (レス) id: d151b419d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ティナ | 作成日時：2019年3月26日 14時
