プロローグ ページ2
「ち、遅刻する!」
わっせわっせと鞄を抱えて走る制服姿のデコ出し少年がいた。
「そう言えば、教室に行くには山を登らなければいかなかったな!」
彼は椚ヶ丘中学校に通う三年生。
どうやら三年生生活初日にて遅刻してしまったようだ。
――――――――道に迷った子供を交番に連れていったら遅れてしまった!
彼は人当たりが良く親切な少年で困っている人がいたら放っておけない倫理的だ。人助けをして学校へ遅れてしまったことも多々あり、そしてその優しさのせいで重大なことを犯してしまった。それは―――学年末テストに遅刻してしまったことだ。
ちょうど不運なことに登校中に路上で倒れた老婆を発見してしまい病院へと連れて行っていたら見事学年末テストに遅れてしまいテストを受けれなかったのだ。
椚ヶ丘中学校は成績が全て。成績を決定付ける学年末テストの日に遅刻でもしたら例え倫理的行動をして遅れたとしてもその方針をねじ曲げることは出来ず、A組からE組へと落ちてしまったのだ。
E組は通称エンドのE組と言われており、進学校の勉強についていけなかった脱落者が集ったクラス。毎日山の上の隔離校舎まで通わされてあらゆる面でもカスみたいに差別される。
彼は友にも恵まれていたがE組に落ちた時に大半の友は彼から離れていった。彼は最初は悲しんでいたがまた"絆"を紡ぎ直せばいいと前向きに立ち直った。
そして、新しいクラスということもありまた新たな絆を深めようとも奮闘している。
「よ、ようやく山の前まで着いたが後もう少しでホームルームが始まる!」
急いで山を登ろうとした時。
―――――――――――上空でなにかが起こった。
異変に気付いた少年は思わず頭上を見上げるとそこには………
「つ、月が…!?」
朝方は少し月がほんのりと出ていることもあるがくっきりと三日月登っていた。いや、本来ならば今日は"満月"のはずなのだ。
そして近場の家からとあるニュースキャスターの声が聞こえた。
「つ、月が…七割方蒸発しました!!」
「我々はもう一生三日月しか見れないのです!!」
そんなニュースキャスターの言葉に思わず少年は声を出した。
「ワ、ワシのいた戦国時代でも流石にそのようなことは起こらんかったぞ…?」
そして月が蒸発した日が、前世に天下人徳川家康の記憶を持った少年、徳川康の暗殺教室が始まった。
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作者名:権現家康 | 作成日時:2018年5月4日 16時