28:ﾌﾟﾙｽｳﾙﾄﾙｧｱｱｱｱｱｱｱ ページ29
力なく爆豪が出て行ってからどれくらい時間が経っただろう。
手に力が入らない。
簡単だって言ったけど私の中では簡単じゃなかったみたいだった。
立てない。
『立たないと。授業始まってる。』
そう言い聞かせるのに、足も言うこと聞いてくれない。
『立って、立って、立ってよ、·····立ってってば！！！』
グーで足を叩く。
でも力が入らない。
なんで私ってこうダメなんだろう。
ポロポロと涙が溢れてくる。
足は動かないし涙は止まらない。
『なんで我慢が出来ないの･･･！我慢してよ私の体！！』
我慢して。
我慢。
もう終わったんだよ。
自分を苦しめるものはもう無いんだよ。
だからもういいじゃん。
もういいでしょう？
時間をかけて壁を使って立ち上がる。
お腹は痛いはずなのにそれどころでは無いのか痛みを感じなかった。
フラフラと資料室の扉を開けて教室とは反対方向に歩いた。
みじめ、
みじめだ。
なんて惨めなんだろう。
止まらない涙が頬を流れる。
こんな惨めな姿人に見られたくない。
そう思って私は外階段へ走り出した。
『なんでいんだよ、』
「いや、･･･水成が居なくなったから探して歩いてたらどこかわからねぇ場所に来てた。
水成、ここはどこだ。」
こっち、反対校舎だけど。
何故かわからないけど外階段にいたのは私といつもご飯を食べていた轟くんだった。
いやなんで居んの。
人がいないかなって思ったらいるじゃん。
ああそうか。
人じゃないもんね！天使だもんね！
『そうかそうか、教室はあっちだよ。』
「ここまで何回も聞いたんだが、みんな指さすだけでわからなかったんだ。また指さされると流石に困るぞ。」
『授業始まってるよ、走っていった方がいいよ』
「走ると口から蕎麦が出そうなんだ。それより、なんで後ろを向いているんだ。お前は俺が後ろにいるように見えるのか。」
そう。私は後ろを向いて轟くんと話をしていた。
U☆S☆I☆R☆Oを向いて話をしていた。
『ちょっと鼻にクワガタが挟まってていたたたたたたちょいたたたたたたたたた。』
「クワガタか。お前、鼻にピアス開けたいって言ってたもんな。そうやって開けるのか。」
『んなわけねーだろバ･･･そうなんだよね、早くあかないかな。』
「そうか。見せてみろ。」
轟くんが私を無理やり前を向かせた時。
涙まみれの私を真っ直ぐ見て言う。
「爆豪じゃなくて俺でいいだろ。」
そう言って私を抱きしめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1692人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たら - 小学生の子かっこよすぎ。結婚しよう (2021年8月12日 21時) (
レス) id: 979f7d7a59 (このIDを非表示/違反報告)
れふる(プロフ) - とても素敵な作品で大好きです！！続編待ってます！！ (2020年4月10日 15時) (レス) id: f89108791d (このIDを非表示/違反報告)
マイ - めちゃ感動した。やばい神すぎる神に改名したまえ (2020年4月9日 10時) (レス) id: d1e84853e0 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 本当まじ感動しました！めっちゃキュンキュンする〜！！神作書いてくださって本当にありがとうございます！！ (2020年4月7日 23時) (レス) id: 5ed857011f (このIDを非表示/違反報告)
紺 - 素敵でした (2020年3月12日 12時) (レス) id: 70df13c73f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：日�� | 作成日時：2020年1月8日 23時
