不穏 ページ29
櫻井｢お、おはようございます！！｣
緊張からつい大きい声で挨拶する。
...が、返事がないため恐る恐る目を開けた。
開いた視界の先には驚いた君の顔があり、すぐに柔らかい笑顔になって挨拶をしてくれた
櫻井｢さと...｢おはようございます。｣｣
だが、俺は目の前の事に気を取られ忘れていた...
二宮｢なんです？さっさと打ち合わせしますよ｣
櫻井｢わ、わかりましたよ...｣
でも、俺の予想とは裏腹に特にからかわれたりすること無く俺の案に賛成してくれ
打ち合わせは滞りなく終わった。
二宮｢私はアレでいいと思うんですけどね｣
櫻井｢まぁ、上からも大丈夫だと思うんですが...｣
二宮｢三日後でしたか？大変ですね。｣
櫻井｢ええ、でも準備は出来てますから｣
俺がそう言うと二宮さんは興味無さそうに返事をした。
櫻井｢...これは智くんの為なんです。｣
二宮｢......。｣
櫻井｢俺は...智くんが好きです。
だから、｢もういい。｣｣
言いかけた言葉は二宮さんの声でかき消された
二宮｢...もう、終わったよ。｣
櫻井｢え...｣
そう言って二宮さんが一瞬、悲しい顔をしたのを俺は見逃さなかった。
打ち合わせが終わり、智くんはもうすでに会議室にはいなかった。
二宮さんも会議室を後にしようとした時、咄嗟にその腕を掴んだ。
二宮｢智以外の男に触れる趣味はないですよ？｣
そう二宮さんは悪態をつく。
櫻井｢冗談を言ってる場合ですか？...どういう事です、終わりって。｣
二宮｢そのままの意味ですよ。｣
櫻井｢じゃあ、智くんは...｣
俺がそう言うと二宮は俺の目を見て笑った。
二宮｢...あ、雨降ってきましたね。｣
さっきまで晴れていた空はいつの間にか雨雲へと変わり、小雨程度の雨が降り始めた。
二宮｢...かわりに泣いてるみたいですね。｣
そう言って、二宮さんは会議室を後にしてしまった。
会議室に一人残った俺はしばらく動く気が起きなかった。
やっぱり雨の日は何かが起こる...
若干の頭痛を手で抑え、会議室のイスへと腰を下ろした。
そして、しばらく雨音に耳を傾け目を閉じた。
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作者名：ハヤト | 作成日時：2017年12月17日 21時
