いや、俺男なんやけども。【稲荷崎】【男主】 (ページ9)

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8話ページ9

そのまま30分ほどぼーっとしていたらしく、気づいた頃にはすっかりと日が落ち外は暗くなっていた。

侑「…あ！橘くんやん！もう帰ってしもたのかと思ったわ」

校門を出ようとした瞬間、後ろから声をかけられ振り返る。

片付けも着替えも済ませたようで、制服姿の4人が立っていた。

治「さっさと帰るなんて白状やと思っとったけど待っててくれたんか？」

銀「なわけないやろ、たまたまや」

侑「いーや、橘くんはきっと俺の事を待っとったんや！」

治「いや、俺やろ」

本人を蚊帳の外に言い合いを続ける双子を呆れたような目で見るほか2人。

いや、自分を合わせて3人。

角「橘さんってどうやって侑と仲良くなったの？」

隣を歩く角名倫太郎にふと問いかけられる。

特に悪意もなくただ純粋な疑問に、昨日あったことを話せば角名は小さく笑う

角「いつも屋上で食べてたんだね」

『……まぁ、あそこ人来やんし』

角「…明日俺もそこで食べてもいい？」

そんな問い掛けに思わず隣を見上げるも暗いからかよく表情は見えなかった。

『うるさくせんならええよ』

もう場所がバレているならダメという権利はないため承諾する。

言い合う双子と宥める銀島を放って話していたが、いい加減近所迷惑になると思い制止の声をかける。

『…いい加減うるさいわ、自分ら』

パッと勢いよくこちらに視線を移す双子に驚きつつ、なんや？と問いかける。

侑「橘くん、俺の事待っとったんよな！？」

治「やから俺や」

銀「いや、普通にどっちでもないやろ」

随分と時間が経つのにまだその話をしてるのかと呆れつつ小さく息をつく。

『俺が待ってたんは角名や』

と返し、唖然と立ち呆ける3人を置いて角名と歩く

角「オッホホ、いい写真がとれたわ」

いつの間に撮ったのか、間抜けな顔をしている先程の双子の写真を見せてくる。

『ふは、おもろい顔やな。…あ、それ送ってや』

写真を貰うために連絡先を交換した。

『じゃ、俺こっちやから。』

随分短く感じた1日を思い返しながら帰路に着く。