いや、俺男なんやけども。【稲荷崎】【男主】 (ページ7)

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6話ページ7

侑side

サムのホームランサーブが真っ直ぐ橘くんの所へ飛んでいき、ぼーっと立ったままの彼に冷や汗をかいた。

声をかけるも聞こえてないのか足が動かないのか。

橘くんの所へボールが届くまでの時間がやけに長く感じた。

もう間に合わない、ぶつかる。
＿＿と思った刹那、

トンッ

橘くんは綺麗なフォームでボールをレシーブし、静かに相手コートのセッターにAパスで返した。

気持ちが高揚するのが分かる。

初心者とは思えない、綺麗で静か、かつ正確なレシーブに無意識に口角が上がる。

そんな様子を見ていつもなら何か言ってくるサムや角名も今は目を見開き橘くんを見つめていた。

『……あ、えと。気にせず続けたってください…』

体育館中の視線を集め、やってしまったとでも言うように顔を青くし冷や汗をかく橘くんは小さくそう呟いた。

そんなものは聞こえないふりをし、練習中なのも忘れ思わず橘くんの元へかけよる。

侑「…なんや橘くん！バレーやってたん！？」

治「さっきのレシーブ凄かったなぁ」

同じ様に着いてきたサムと一緒に橘くんを質問攻めしていればあわあわと困った様子で口篭る。

北「…今練習中なの分かっとるん？練習止めて相手にも迷惑かけて、それがいいこととでも思っとるん？」

宮「「…ヒィッ！！」」

相変わらずの北さんの正論パンチに気圧され渋々自分のコートへ戻ることにした。