いや、俺男なんやけども。【稲荷崎】【男主】 (ページ31)

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結局追試に向け勉強をすることになったが、銀と倫太郎は双子の世話で手一杯らしく、困っていれば北さんが直々に教えてくれることになった。

『お邪魔します…』

体育館の点検で部活が休みになり、放課後北さんのお家へお邪魔することになった。

北「んな緊張せんでもええよ、ばあちゃんおらんし」

先輩の家に来るのは初めてで緊張しているのを察したのか、此方を気遣ってくれる北さんにお礼を言い座布団へ腰を下ろす。

┈

スパルタなんかな、なんて心配は必要なかったらしく、優しく丁寧に教えてくれた。

北「……そや、お隣さんから頂いた芋羊羹あったんやった。休憩ついでに食おか」

『！！食べます！』

そろそろ疲れて集中力が切れてきていたのでとてもありがたくてつい食い気味に返事をしてしまう

北「ふふっ、そんな腹減ってたんか」

綺麗な笑みを浮かべる北さんに思わず見惚れつつ、芋羊羹が出されれば意識はそちらへ移る。

『……ん、っま！！なんです、これ！？めっちゃ美味いです！』

北「ただの芋羊羹や、…んな焦らんでも芋羊羹は逃げんよ」

『やって…！ほっぺた落ちるくらい美味いんですもんこれ！』

笑う北さんに目もくれず、口ん中でとろけるような美味しすぎる芋羊羹を味わっていれば、すっと顔の前に羊羹を差し出される。

北「んな美味そうに食ってくれると嬉しいわ、こっちも食べてええで」

『…へっ！？ええんです？北さんの分無くなっちゃいません？』

北「ええよ、お隣さん偶にくれるしそん時食うわ」

ニッコリと笑いながらあーん、と羊羹を差し出してくる北さんから後光が見えた気がした

『ありがとうございます！』

北さんが持ってる羊羹をぱくっと口へ入れては再びその美味しさを口いっぱいに味わう。