いや、俺男なんやけども。【稲荷崎】【男主】 (ページ4)

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3話ページ4

キーンコーンカーンコーン

授業の終わりを知らせるチャイムがなる。

2年1組…俺がいるクラスはいつも以上に騒がしかった。

侑「なぁなぁ橘くん、一緒に昼飯食べようやぁ！」

『…めっちゃ嫌なんやけど』

侑「なんでや！？たのむって、こんなにお願いしてんのに聞いてくれんの？」

『…てかなんでこの教室おるん、お前2組やろ！』

クラスの視線が此方へ集中する。
それもそのはず、昨日まで接点なんて少しもなかった2人が急に話し始めたんだ。教室のど真ん中で、廊下まで聞こえるようなバカでかい声で。それに片方は超モテ男と来た。
注目されないわけが無い。

片割れと同じバレー部であろう2人からの誰やこいつっていう視線を感じる。

『…ほんま勘弁して……』

四方八方から刺さる女子からの視線が痛い。
…諦めて宮侑の腕を引っ張り無理やり教室から出て逃げるように屋上へ登った。

侑「大胆やなぁ、橘くん」

こっちの気も知らず楽しそうにそう話す宮侑に苛立ちを覚えつつ小さくため息をついて

『……あんたが教室のど真ん中であんなことするからや！』

侑「ええやん、仲良うしよや？せっかく同じクラスなんやし、俺たちの仲やん」

『どんな仲やねん、ちゃんと話したの昨日が初めてやろ、調子乗んな！』

侑「あっはっは！！」

(……コイツとおると調子狂う)

煽られることなんてあまりなかったため、煽り耐性なんてものはなくまんまと相手のペースに乗せられてしまう。

……なんで俺こんな懐かれとるん…

『…はぁ。』

今日何度目かのため息をついた。

侑「…あ、なぁなぁ、今日バレー部の練習見に来ぃや！」

口に含んだ菓子パンを咀嚼していれば突拍子もなくそんな誘いを受ける。

……バレーかぁ。なんや、そんな前やないのに随分懐かしい気ぃするなぁ。

『……ええで』

侑「ほんま！？」

先程まで何を言われても噛み付いていたため、珍しいものを見るように目を見開く彼につい笑みを零す。

『見るだけなら行ってもええで』

侑「よっしゃ！俺のスーパーセットアップ見せたるからな！！」

得意げに鼻を鳴らす彼を横目に残りの菓子パンを頬張り、ぼーっと昔のことを考えていた。