いや、俺男なんやけども。【稲荷崎】【男主】 (ページ25)

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『……よろしくお願いします！』

体育館の屋根に雨粒が弾かれる音が響く中、自分より1周りほどデカい連中にピシッと腰を折りお辞儀をする。

あれから一週間ほど経ち5月下旬、俺は稲荷崎高校男子バレーボール部へ入部した。

先日のあの一件で佐藤先輩と男3人は退学、もう1人の女の先輩は2週間の停学を言い渡されたらしい。

侑「…やっとや！やっとAくんがバレー部に…！」

『ふは、そんな嬉しいんか？侑。』

侑「…あかーん！！悩殺スマイルや…！」

治「うっさいわ」

侑「はぁん？なんや治、羨ましいんやろ！」

治「ちゃうわ、調子乗んな！Aくんと俺の方が仲ええしな」

侑「何言っとん、そんなわけないやろ！？あほか！」

角名「…相変わらずだね」

なんて言いながらスマホ片手にシャッターをきる倫太郎に思わず笑みをこぼす。

『あんたもな』

あれから俺はコイツらと距離をとるのをやめた。俺のために怒ってくれて優しくしてくれんのに避けるなんて損やし失礼やろ！って思ってから距離が縮まるのは案外早いもので…名前で呼び合うようになったし、お昼も移動教室も体育も…いつも一緒に居った。

『…さ！侑、治！喧嘩はその辺でやめとき！そろそろ北さんに怒られんで！それに…みっちり扱いてくれんのやろ？俺、久々やから超鈍っとるし！』

侑「…せやな！任せとき、みっちり扱いたるわ！」

未だに言い合う双子の間に割って入りそう言えば、チラリと北さんへ視線を移し背筋を凍らせながらも此方の言葉に笑って返してくれる双子を見て此方も自然と笑顔になった。