いや、俺男なんやけども。【稲荷崎】【男主】 (ページ23)

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治side

電池が切れた様に気を失った橘くんに、焦った様子のツム。

普段の行動からは想像できない程そっと、大切そうに抱き上げる双子の姿に息を飲む。

角名「…治見すぎ」

角名の声で我に戻り、ツムから橘くんへ目を向ければ、はだけて顕になっている白い肌が視界に入る。

治「…！？ちゃう、橘くんを見とった訳やない、！」

野郎の上半身なんて着替えの時に嫌という程見てきたのに何故かいたたまれず言い訳をしてしまう。

とりあえず着ていたジャージを被せ、橘くんのことはツムに任せて体育館へ戻る。

教師まで動員していたのを見ている部員たちは気になって練習どころじゃなかったらしく、体育館の中へ入った途端囲まれる。

北「…どやった？橘くんは無事か？」

いっぺんに聞かれ困っていれば、北さんがそれを制す様に尋ねてくる。

治「…はい、無事と言っていいんか分からないですけどとりあえずは…」

北「そか。…詳しいことは侑が戻ってきてからや。皆身に入らんみたいやし今日は練習切り上げや、片付けよか。」

北さんの“皆”に北さん自身が入っているように思えるのは気のせいだろうか。

いつも落ち着いていてどっかりと構えている北さんが今日は少しだけ頼りなく見えた気がした。