いや、俺男なんやけども。【稲荷崎】【男主】 (ページ14)

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13話ページ14

自分らが部室に着いた頃にはもう誰も残っていなくて、広めの部屋に双子と角名、自分だけだった。

少し汗で湿ったジャージの上着を脱ぎ、Tシャツを脱ごうと捲れば、後ろからひんやりとした手が素肌へ伸びてくる。

『っ？！』

驚きから大きく肩を跳ねさせばっと振り返ればしてやったり顔の宮侑が立っていた。

侑「あっはは、びっくりした？…にしてもほっそいなぁ、ギュッてやったら折れてまいそう」

ぺたぺたと腹部あたりを触りながら呑気にそんなことを抜かす宮侑にチョップを食らわし、ワイシャツのボタンを閉めている途中の角名の隣へ避難する。

侑「あだっ、…って、なんでにげるん！？」

治「セクハラやろ、くそやな」

侑「はぁ！？なんやねん、別にええやろ！…てか橘くんなんでそんな角名に懐いとるん！？」

『…うっさい、ほんまうっさいこいつ。宮侑とかいうクソうるさいヤツどーにかしてくれや角名』

侑「ひどい！？」

治「はっ」

侑「なんやねんサム！」

『やからうるさいて、…て、あれ？』

いつまでも喧しい宮侑に気を取られながら袖を通したブレザーはだいぶ大きくて、自分のものでは無い匂いがした。

角名「…あ、それ俺の」

＿＿パシャ

シャッター音と共に角名の声が聞こえてくる。

『ん？…あぁ、すまん…って、何撮ってんねん』

パシャパシャと何枚か写真を撮る角名に思わずツッコみつつ、さっさと脱いで自分のものに袖を通す。

角名「…あ、もーちょいそのままでもよかったのに」

『いややわ、自分汗かいたし』

気にしないのに。と呟く声が聞こえた気もするがスルーして、まだ着替え終わってない双子に置いてくぞと声をかけ部室を出る。