虎杖悠仁の恋事情

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何で俺、こんなに頑張ってるんだろ。
頭から温かなシャワーを浴びて、後悔や思考を流し落とすように手で擦っても、中々俺の恋心は消えない。
なんで＿＿＿＿＿＿＿
消えろよ。
消えろ………。
消えろ＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿だめだ、消えない。
何か考えすぎているのかもしれない。頭を冷そう。
お風呂からあがったあとの身体から熱気が出ているので、夏の季節でも冷える外に出れば冷えていく。
そうだ、外に出よう。
頭にタオルを乗せ、Tシャツと短パンのままサンダルを雑に履いて外に出ようとした。

「あれ、悠仁？どうしたの？」
「……は？」

聞き馴染みのある声がした方へ顔を向けると、Aさんが近づいてきた。
あぁだめだ、こっちへ来たら奪ってしまいそうだ。
取り返しのつかないことをしてしまいそうだ。
伏黒に悪いことはしたくない。動くな、俺の理性。
ぶれるな、俺の本能。
触るな、伏黒の女に。
近づいてくる彼女は俺の気持ちなんて到底知らない。知る気もない。その足が1歩1歩歩み寄っていく度に、壊れていってる気がする。なにかが落ちていってる。

「………先輩、こっち来ないで」
「え？どうして？なんかあった？」
「こっち来たら、もう俺、多分止まんなくなるから……」
「……さっきから何を言ってるの？悠仁、大丈夫？」
「大丈夫じゃねぇよ!!狂いそうだ!!」

目を見開いて少し後ずさる先輩を見て少し落ち着いた気持ちになる。そのまま離れて。そのまま、離れて。
離れて。
離れ、て。
離、れる＿＿＿＿＿?
あぁ、だめだ。来て欲しい。
本当はこっちに来て欲しい。
今すぐ俺のものにしてやりたい。
待って
待ってよ
俺、まだ＿＿＿＿＿＿＿

「待って…………」

気づけばしゃがみこんで顔を手で覆いこんでいた。涙をたくさん拭った。でも止まらなかった。
触れて欲しい手の先は俺じゃない。
それが伏黒だっただけだ。
でも俺は先輩が好きで、離れて欲しくなくて、
でも伏黒には傷ついて欲しくないから触れられない。
触れたらもう、伏黒と俺の仲が壊れてしまう気がするから。
あぁだめだよ先輩。俺もう先輩に溺れてるんだ。
もう水面に上がってこれないよ。息が出来ないんだ。

「悠仁、なにか辛いことがあったの？私でいいなら話を聞くよ」

そう言って俺の気も知らないで背中をさすってくる。
そっちから触れたんだ。これはセーフだろ？
彼女の手首を掴んで引き寄せて、そのままキスをした。




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