難ありイケメン

ジンクス ページ20

「なにそれ」

「え、知らないの！？

屋上にある、鐘を鳴らしたら同じ鳴らした人と幸せになれるっていう…」

「えー、やる人いないしなぁ…」

「ほら、ゾムくんとか誘って行ってきたら？」

「なんでゾムくん」



とりあえず、ゆりによれば屋上にある鐘を鳴らすと幸せになれる……らしい。



屋上に鐘なんてあったんだ。



でも、ほんとになんでゾムくん…？



うーん、わからない。



「…」

「あ、ほら！ちょうどゾムくんいるし！ね？いいでしょ？ゾムくん」

「ぇ、ぁえ、ぅ……」

「ゾムくんも困ってるじゃん」

「だ、だだだ…………ぃじょぶ…デス」



カタコトになってる…。



「んふふ」



慌てふためくゾムくんが面白くて、我慢してた笑いが出ちゃた。



しょうがないよね、うん。



あ、まって。



違う、そうじゃない。



ゾムくん、なにOKしちゃってるのさ…！



これで本人からの許可も得たし、最終日にでも行ってきたら？なんて、ゆりが勝手に話を進める。



全然！！



全然良くないよ！！



どうしよう。



ゾムくんに好きな人がいて、私がジンクス一緒にやっちゃったら……。



なんか申し訳ないな。



「ね、ねぇ、ゾムくん。ほんとに大丈夫なの？これ、冗談かもしれないじゃん？」

「べ、べべべ別にへ、へへ平気で…………す、ぅ」



平気じゃなさそう…。



本当にごめんね、なんて心の中で謝っておいた。

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