ツンデレくんと家政婦ちゃん【青】

ごしゅじんさまのきもち ページ19

Aちゃんのことは、初めからいい子だと思ってた。

家政婦の仕事もちゃんとやってくれるし。可愛いし。

それだけだよ？

それ以上求めてはいけない。だってAちゃんは、ただの家政婦なんだから。

でもさ？

僕のために尽くしてくれたりだとか、服選び頑張ったとか言われたら、期待しちゃうじゃないですか。

って、なんの期待だよ。ってもうひとりの自分がつっこむ。でもさ、って、またもうひとりの自分が言う。

そのくりかえし。無限ループ。

気持ちなんて、抑えようがないよね。

好きと、確実に言える気持ちではない。でも、ただの家政婦とAちゃんをその名前で片付けるのもちがう。(さっきはそう言ったけどね！矛盾！)

何なんだろうね。

いまが一番いい気がするなあ。

ふわふわしていて、初めがなくて終わりもない。

ただ、ただ、甘い。

僕は今までこんな気持ちになったことがあるだろうか？

多分、この気持ちがどういうものかと聞かれると、中途半端だ。なんと言えばいい？

ねえ、教えてよ。



「いや、恋だろ」

イヤフォン越しの彼の声がずばっとそう言う。

プライベートでエペ中。

「だーかーら、違うって！」


「何でそう言い切れるんだよ？」


「このままでいたいっていう気持ちがあるんだよ。普通、好きなら付き合いたいでしょ？」

「ホント、ころんは単純だよな。好きは、それだけじゃないって。ころんが今言ったのもあるんだって」

「嘘？」


「さとみ様は、嘘をつかん！」


「でもぉ・・・」

「何、まだ言い訳する気？」


「言い訳って言い方、やめてよぉ」

「言い訳だもーん」

「言い訳じゃない！」

あーだめだ。どんどんズレてく。

「・・・ま、自分に素直になるのも、いい事だと思うぞ。俺の助言」

「・・・んー。・・・さとみくん」


「ん？」


「うんこ」


「ｳﾒｴﾖｫｫｫ！」


「ぶっ・・・。ちょっと！さとみくんのせいで、ミスしちゃったじゃん！」

「いやだるW」


よくわからない気持ちで悩むより、今はさとみくんとこうやってゲームするほうがいいや。

僕のペースで、ゆっくり答えを探せばいい。

テストみたいに、時間制限があるわけじゃないんだから。
　

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