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「北斗、私もう仕事行くよ?」
声をかけると、眠そうな目を擦りながら彼がこちらへ来る。
私の彼は、朝に弱い。
「ん、…A。もう行くの?まだ時間あるじゃん。」
ぎゅう、と抱きつかれる。
177cmもある彼は、あっという間に私をまるっと包み込んでしまう。
「ふふ、そうでも言わないと起きてこないでしょ?」
「…あーもう、Aには敵わないな。」
「当たり前。」
よしよし、と背中をさすってあげると嬉しそうに微笑む北斗。
……良かった、今日は普段の北斗だ。
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───北斗は、所謂メンヘラである。
精神が安定している時はそれはそれは可愛いわんこだが、私が少しでも不安にさせたりしてしまうと別人になってしまう。まるで、狂犬。
この前なんて、少し帰りが遅くなっただけで発狂してスマホ割られちゃったっけ。
でも、北斗が私の事を好きなのに変わりはない。
むしろ、年々愛が増していってる気がする。
来月で付き合って3年目。
北斗がメンヘラになってしまったのは付き合って1年を迎えた後くらいだった。
原因は、───私の浮気。
毎日甘やかしてくれて、何でもしてくれて、何事も肯定して、私を絶対に否定しない。優しすぎる北斗に、少し、冷めてしまっていた。
ほんの一瞬、浮ついた心が、こんなにも北斗を変えてしまった。
勿論今は、北斗だけを愛している。
……きっと。
そう、きっと愛している。
だって、こんな北斗を好きでいてあげられるのは私しか居ないから。
北斗は、私が居ないと生きていけないから。
これは、情とかではなくて。
私は、北斗をちゃんと愛しているんだ。
───きっと、ね。
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作者名:みゅん | 作成日時:2022年11月27日 5時