引きこもり姉妹の幻想生活 Part2 (ページ3)

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第５１話ページ3

秋菜side

「ふわぁっ……寝不足の体にはキツイねぇ、この天気」

「完全に自業自得でしょ。ほら、さっさと行くわよ」

「分かってるって。だからあの、首根っこ掴むのやめてくれません？」

「犬っころにはちょうどいいじゃない」

「犬じゃない、狼」

「イヌ科ではあるけど……」

と、そんなふざけた空気で空を飛ぶ。正直に言うと、私は妖怪の山の買収に苦労するとは思えない。河童はモノづくり、天狗は情報屋。なら、異世界から来た私たちの持つあらゆる情報さえ渡してしまえば簡単だろう。

「とーちゃーく。で、お迎えありがと、文」

「あれ？バレてました？」

地を踏みしめてまず一言。後ろをバレないように着いてきていた文に軽口。気づかれてないと思っていたのか、私相手に本気で？

「まぁね。で、にとりどこにいる？」

「ここにいるよ〜」

「んじゃまあ、本題に入りますか？」

「妖怪の山を寄越しな。私たちが住みやすくしてやるよ」

そう言い放つと、にとりのそばにいた河童達が騒ぎ出す。ふざけるな、余所者のくせに。

敢えて言おう。当たり前だろ(・・・・・・)と。
余所者に妖怪の山を支配される、普通に考えて受け入れられるはずがない。だが、河童も馬鹿じゃない。ましてや、にとりなら。

「ふーん。対価は？」

「うん、さすがだね。
外の世界での機械系の資料をあげる。自分らは物作れて？山は平和。いいねぇ、やりたいことだけやれるって素晴らしい。なぁ、文？」

「天狗には。私には何をくれるのでしょう？」

「珍しいのが欲しいなら、外の世界のありえないくらいのニュースがごろごろある。それでいいだろ？」

「わーい、ありがとうございます！」

とまぁ。単純な脳みその河童と天狗は。
私が渡せるものの最低限でしかない2つで妖怪の山の支配権をくれたのだった。