検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:10,499 hit

伍拾伍 ページ8

「そういえば、しのぶさんは何か用があったんですよね?」


竈門さんが胡蝶さんに言った。
胡蝶さんは一瞬キョトンとした後、ああ!そうでしたと私に身体を向けた。


私も胡蝶さんの方に身体を向ける。
胡蝶さんの顔は、先程とは打って変わって少し厳しい顔をしていた。


「ええ…、今のAさんには、少し酷な話かとも思ったんですが…。」


胡蝶さんは、一回息を整えた後、こう続けた。








「先日、Aさんがかかった血鬼術について、少し…。」








嗚呼、なるほど



あの時言われた、隊士からの言葉。
思い出すと、少し、気分は暗くなって、自己嫌悪に陥りかけたが、






「…大丈夫、です。」


と答えた。


思い出すだけで、苦しい、悲しい気持ちがやってくる。
本当に自分は駄目なんだと考える。


でも、今は駄目だ、と。


折角、決意したんだから、と。
本当は、嫌。という気持ちを抑えて、
私は胡蝶さんと向き合っている自分の身体の背筋を伸ばした。





「…そうですか。


では、手短に話させて頂きます。
先日、Aさんがかかった血鬼術は、…んー、簡単に言うと【逆転】と言うものです。


現実の世界で本当に起こった事と正反対の事を、夢の中でその人に見せる、というものでした。」





「…正、反対のもの。」




「ええ、そうです。
なので、Aさん。酷な事だと言うことは十分わかっていますが、どんな夢を見たのか、教えてくださいますか?」




…夢。

あの隊士達からの言葉も、夢なんだろうか。

でも、そんな都合のいいこと、あるんだろうか。

いや、ないだろう。





でも、いや、でも、


心の中の葛藤。




夢であってほしい。

でも、夢じゃなかったかもしれない。









私は、悩んだが、結局その隊士達の事は伝えないことにした。



あの隊士達の言葉が本当だとしたら、あの隊士達は罰せられる。
でも、あの言葉は事実だから。









 
 
 
 
 



 
 




 
 
 
 
 
「…そうですか。なる程。
ありがとうございました。」









私は変わると決めた。




 
でも、まだ私には、



 
全てを曝け出す強さも、




自分を信じる事も、









 
 
 
 
 








 
 
 
出来るほど、強くはないの。








結局、この私。

伍拾陸→←伍拾肆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
161人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , シリアス
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ハルル - とっても面白いですね。続き楽しみにしています! (2021年4月2日 16時) (レス) id: 3ed8831ca6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年1月13日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。