流星の詩（yb×hk）▼yb side

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季節はめぐり、俺たちは中学二年生になった。

驚くべきことだが、俺と光はあの雨の日以来、毎日あの公園で会っていた。
一日も欠かさず、だ。雪がしんしんと降っていた日も、春一番が吹き荒れた強い風の日も。
どんな天気でも赤いトンネル滑り台の中に入ってしまえば、そこは俺たちの安泰の地だった。
天気が良ければ、光はベンチに座って絵を描いて、俺はサッカーボールを蹴った。
光の絵が描けたらいつも一番に見せてもらった。

光の描く絵はいつもどこか夢見がちだった。

眼鏡をかけた探偵みたいな鳥
たこ焼きを食べるキリン
日本代表のユニフォームを着た蜂

だけど、俺はその、どこかおかしな、光の描く世界がものすごく好きだった。
光の描く絵はいつだって俺をワクワクさせた。

光の目には、この世界はどんな風に見えてるんだろう、と思った。
そして、光の目に、俺は…どんな風に見えてるんだろう…？とも。

光にとって、俺って…どんな存在？

ん〜…まぁ、「友達」…だよな。
いや…「親友」…って、思ってもいい？どう？
それとも…？

安心しきった光の笑顔を独り占めしてる自覚が少なからずあった。
だって他の誰にも光はこんな顔して笑わない。
だから…心の片隅に些細な期待はあったと思う。
だけど直接聞くような勇気はなかった。
一番に絵を見せてもらえる、そんな今の関係を崩すのは嫌だった。
それになにより俺自身も、よく分かっていなかったのだ。
光を想うこの感情が一体なんなのか。
この感情に名前はあるのか？あるとしたらなんていう名前なんだよ。
分からなくて、たまに苦しくて…どうしようもなく持て余していた。


公園ではよく話してくれるようになったけど、クラスでの光はもの静かだった。
いじめられてるわけじゃないけど、今思えば、なんとなくクラスから浮いていたような気もする。


「薮って本当、優しいよね〜。八乙女みたいな暗いヤツにも話しかけてやってさ〜。」
クラスの女子にそんなことを言われたことがあった。
どうやらその言葉は俺に対する褒め言葉のつもりだったみたいだけど、随分と的外れで、俺は思わず首を傾げた。

・・・暗い？光が？
いや、たしかにあいつはギャーギャーうるさいタイプじゃないけど。

だけど光はよく笑うし、暗くなんかなかった。
少なくとも俺の前では。

俺が光に話しかけるのは優しさとか同情とか、そういう類のものでは全くなかった。
本当に的外れで、心底笑えるほどに。

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