流星の詩（yb×hk）▼yb side

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俺たちはどれくらい空を見上げていたんだろう。
だんだんと流れる星の数もちょうど少なくなってきた時だった。

「っくしゅん！」

光がくしゃみをして、鼻をずびずびと鳴らした。

「光、寒い？」
「ううん、大丈夫っ…ごめ、ん。」

そう言って光は笑ったけど、もう一度、小さく鼻を啜った。
大丈夫…なわけないよな…。
だって俺でも寒い。寒がりな光は、きっと俺よりも、もっと寒いはず。
こんな寒い中、光を待たせてしまったことを、俺は今さらもう一度後悔した。

「…ごめん…光。」
「へ？何が？」
「いや、身体冷えちゃったよな…俺が…待たせちゃったせいで…ほんと、ごめんな…。」

俺の言葉を聞いて光は驚いたように目を見開き、そして首を思いっきり横にブンブンと振った。
本当に思いっきり、首がとれてしまいそうなほど。


「全然、寒くなかったよ、本当にっ…寒くなかったんだよ…あのっ、トンネルにいたからっ…」
「トンネル？」
「うんっ、あそこの…トンネル滑り台の中、風もなくて、あったかくて…だから、平気だったよ？全然、本当に。大丈夫。」

光はそう言ってニコッと笑った。俺に心配かけまいとして、本当に全然大丈夫だったんだ、と繰り返し、もう一度笑った。

「いや、でもいくらトンネルの中で風が防げたって…」
「でも…俺、嬉しかったから…」
「ん？」
「だって…薮…来てくれたから。嬉しくて…寒さも吹っ飛んじゃった。」

光はそう言うと、ニコッと笑った。なんだか子供みたいに無垢な笑顔で。

「…はっくしゅん！」
「はは、やっぱ、さみぃんじゃん。」

寒さなんて吹っ飛んだと言ったすぐ後にくしゃみをしてしまった光はバツが悪そうに笑って、やっぱり寒そうに鼻をすすって、マフラーに鼻先まですっぽり顔を埋めた。

「でも今夜は…空気が冷たくて澄んでるから、星がよく見えて…良かった。」

そう言って、光は自分の右手と左手をすりすりと擦り合わせた。

こういう時、大人の男なら…。
大人の男なら…好きな人が隣でこんな風に寒そうにしていたら、自分の上着を着させたり、肩を抱き寄せたり、手を握って温めあったり…そういうこと、するのかな…なんて、色々グルグル考えてはみたが、どれもこれも俺にはハードルが高すぎた。

結局、俺は光の隣にただ座って、自分のポケットにズボッと手を突っ込んで、寒そうな光を横目で見つめるだけしか出来ないのだった。

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