文学少女と科学少年9 ページ9
千空 side
目の前でバカ真面目に大樹が俺をみつめる。
大方、俺の気持ちに今更気付いたんだろうな。やっぱり雑頭はどこまでいっても雑頭だ。
めんどくせぇ...が、それは要らねえ心配だ。
「我慢も何も、それが一番合理的なんだよデカブツ。このストーンワールドではお前が居なきゃ即ゲームオーバーなんだ。そんな男が惚れた女に気を取られて集中できなかったら困るからな」
俺が静かにそう言うとまだ納得しきれていない部分もあるような顔はしつつ、決心をした顔になる。
「ああ!!だが次はAだからな!!」
「あ?次?Aの分はもうとっくに用意してんぞ」
何でもないようにあらかじめ作っておいた石化復活液を見せびらかす。
案の定、大樹が死ぬほど不細工な顔で固まってやがるから見せびらかすように復活液が入ったボトルを出す。
「な!!じゃあ何だったんだ!さっきの言葉は!!」
「アホほどくせぇセリフ吐きやがっただけの時間だな」
「なんで最初にそれがあることを言わなかった!!」
「あ?合理的に考えて俺がAを復活させねえ訳ねえだろ」
もちろん杠は一番に復活させる。
それからAだ。ただ念の為に持っとくってだけの話。
心底合理的じゃねえが、まぁいい。
このストーンワールドをAが見たらなんて言うのか
見所満載じゃねえか。
・
・
「逃げ切れないのなら!一か八か...」
結果的に言うと今俺らはまさにピンチという言葉が似合うくらい完璧にやばい状況だ。
杠を見つけたが服がどうのとかいうクソめんどくせぇことを大樹が言っているうちに野生のライオンに遭遇。
そして大樹が見覚えのある人物の元へと案内する。
獅子王司。霊長類最強の高校生だとかで騒がれてるやつだ。テレビを滅多に見ねえ俺でも知ってる。
...ここは仕方ねえ。
腰に入れていたA用の復活液を大樹に渡してぶっかけさせようとする。
「ダメだ!!それはAのだろう!使えない!」
「いいから黙ってかけやがれ!今はこうするしかねえんだ!!」
もう目と鼻の先の距離にライオンが差し迫ってきたため、半ば強引に復活液を獅子王司にぶっかける。
...しかしなんだこの獅子王司っていう高校生は。
今起こしたばかりなのに冷静に戦況を聞きやがった上にあっという間にライオンを倒す圧倒的武力...。
味方だとこれ以上ない存在だが...
逆だとしたら...厄介だ。
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作者名:うらら | 作成日時:2023年3月18日 20時