文学少女と科学少年50 ページ50
私は黒板とチョーク作り、千空たちはガラスを使って色んなものを作る為に奮闘している。
私だって役に立ちたい。司帝国にはきっと頭のキレる奴らがバンバン居るに違いない。確証は無いが、なん立って生きて戻れるか分からない石神千空死んでるか調査にあさぎりゲンが使われたくらいだ。
きっとあそこにはゲン以上の奴らがうようよ居るはず。
その為にはせめて、"学ぶ"ことをしないと。千空が"科学"なら私はそれ以外全てを担おう。千空が科学だけを見つめられるように。
それ以外の望みなんてない。
黒板は荒々しくなったものの、問題なく使えるところまでの工程まで来た。後はチョークのみだ。という時、遠くで作業してる千空たちと、一人のおじいさんが連れてこられているのを発見した。
縄で...拘束されている。
千空の奴め...また何か考えているな。
『千空。そのおじいさんは？』
「腕の立つハイパー職人爺さんだ」
聞く限り、カセキというこのお爺さんは村一番の職人らしい。現代人以外見たことないはずのガラスもいとも簡単に加工することが出来るエリート職人だ。
そんな凄い職人の手にかかればガラス工具なんてちょちょいのちょいだろう。
言葉の通り、カセキは本当にちょちょいのちょいであらかじめ絵にしておいたフラスコなどを作り上げていく。
「わあ、本当に...すごいやこの村」
「ククク、いつの時代にもいるってこった。黙って人生捧げて生きてきた、モノホンのウデのオッサンがな」
「千空なんか嬉しそうだね」
「ああ、これで労働力が一つまた増えんだからな」
素直じゃない人。本当は自分と同じように好きな物に熱心に取り組める人にシンパシー感じてるのにね。そうやって照れ隠しする癖がバレてないとでも思ってるのか。
カセキのおかげで当初より早くラボを作ることが出来た。
中へ入ると壁の隅々まで置かれたガラス器具。夢にまで見た本物のラボ。
私でもこんなに嬉しいのだ。当の本人である千空が嬉しくないわけが無い。
横目でちらりと見るとやはり頬を緩ませて懐かしそうに目を細めている。
...ああ、敵わないな。
いつの時代も千空は科学だ。私じゃない。
でも今はそんなことさえも＿＿＿愛おしい。
「こっからが化学の夜明けだ。いよいよ豪華になってきたじゃねえか！司ランドよか100億倍楽しいアトラクションがいっぱいの化学王国がよ……！！！」
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作者名：うらら | 作成日時：2023年3月18日 20時
