そこにあるのは必然【Dr.STONE】 (ページ40)

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文学少女と科学少年40 ページ40

「迷ってんだよ〜司を裏切って千空ちゃんの味方につくか！？司帝国VS科学王国、勝つのはどっちかね〜？」

なるほど、ゲンはすごく薄っぺらいけど。

逆に言えば勝利を確信させればこちら側に寝返る可能性もあるということ。
そんな可能性が見えたのなら、やることは一つだ。

「あ"？決まってんじゃねえかそんなもん。科学王国だ」

ついに鉄を手に入れた事でクロムたちは大興奮、しかしゲンは相変わらず目を見開きはしたものの心を揺るがすほどではなかったようだ。

「おいA。あのインチキマジシャンを口説け、得意分野だろ」

『得意分野って……仮にも相手はメンタリストだよ。そう簡単に行けるとは思わないけど』

ダメもとで、と半ば強制的に千空からの伝言を受け取り私はまたのらりくらりとした笑顔で読めない顔をしてくるゲンに話しかける。

『ゲン。これから鉄を使って...千空の言葉を借りるなら"100億%科学王国に入りたくなる"ものを作るの。興味あるでしょ』

「誘導心理ね〜。Aちゃんも中々のメンタリストじゃない？」

う...やはりゲンには心理学の知識は通用しないようだ。
それもそうか、プロ相手に素人が試合を持ちかけたようなものだし。

まあ元々ダメもとでやったことだし...いやでも仮にも心理学を本で散々読んできたし...プライドが…

「んで？何作んの〜？」
「発電所」

ゲンの質問に短く千空が答えれば、あまりにも自然に出た言葉だからか、この世界では有り得ないものだったからか。

...ゲンのあの表情は恐らくどちらもだな。

メンタリストの表情をも簡単に変えてしまう千空は、ある意味凄いのかもしれない、なんて。

こんな所でも、彼のいい所ばかり目に付いてしまうのは重症なんだろうか。

凄く戸惑っているゲンに私は心の中で同調した。
いや、千空ならやるんだろうけども。
旧現代でも大変だったことを、こんなまだまだ未発展な科学王国でやろうとするのだから、そりゃ驚く。

発電方法は今あるものだと磁石と雷だろう。

しかし、雷なんて天気の予測も出来ない今となっちゃいつ来るか分からな＿＿＿

『...雷だ』

ゴロゴロゴロ...とこちらの事情もお構い無しに鳴り始めた雷に全員が目を奪われる。

いやいやいや...タイミング悪いにも程があるのでは。

これは流石に、千空の引きが悪いのは昔っから変わってはいないけども。

千空は、どうするのだろうか。