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文学少女と科学少年38 ページ38

「千空、A、君らの仲間か」

「違うな」

瞬時に状況を飲み込んだコハクは軽い屈伸をして金狼銀狼に声を掛ける。
理由は省き、簡単に、でもとても重い言葉を響かせる。

「敵だ」

その二文字を発した瞬間にコハクと門番二人が謎の旧現代人、それも司の手下だと思われる男を取り囲む。
戦闘力は計り知れないが一応警戒する必要があるのか、コハクたちも探りの目を向けていた。

「貴様長髪男の手の者か!?」

白と黒のツートーンカラーの髪、頬のひび割れ、そして笑ってるけれど、何故だか本当の表情は見えない薄っぺらさ、そしてその妙に凝った服。

その全てが嘘で出来てるのでは無いかと思わせるほどの胡散臭さでまみれたこの男。

長髪男なんて知らない、なんて言うけど100%嘘だ。
...人の感情を読むのは得意な方な私でも、この男の真意は分からない。
けど、一切敵意も、殺意も見当たらない。

ただ私にはこの男に見覚えがあった。

『あさぎりゲン...確か心理マジックとか言ってテレビで見た事あるような...』

「ああ、あのゴミみてえな心理本書いてたマジシャンか」

そう、いやまぁゴミみたいなは酷いが確かにあの心理本は在り来りなのが多かった。
けれど彼は本物のマジシャンだ、心の隅まで嘘で染まりきっている。

案の定、千空に罵られても取り乱しもしないでメンタリストって呼んでよなんて呑気に言っている。

「もう怖くて手足プルップルでせっかくのラーメンこぼしちゃいそうでね」

ゲンは傍にいた銀狼にラーメンを渡すとまた羽のように軽い言葉をペラペラと話していた。

「...ククク、まあそういうことにしといてやるよ。ともかく世の中にタダ食いはねえ。ラーメン食ったやつは全員!仕事があんだ」

「仕事?」

千空の言葉に思わず不思議に思ったゲンが聞き返す。
村の人たちもなんだなんだと集まる中、これから始まることを知っている私は思わず苦笑いを浮かべる。

「え、なになに」

それに更に焦るゲンを横目に私も更に苦笑いを浮かべた。





「うおおおおお」

今にも腕がもげてしまいそうなほど必死な形相でフイゴを動かす皆に交代していずれはああなる姿に思わず私も力が抜ける。

「フーフー機能パワーアップ改造した製鉄所レベル2だぜ!」

クロムも思わずドヤ顔してしまうほどの改造の凄さに改めて千空に驚く。あれだけの短期間でここまで改良できるとは思わなかった。

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作者名:うらら | 作成日時:2023年3月18日 20時

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