文学少女と科学少年31 ページ31
「
「餌言うな二人して...」
『このゲス顔ももう見慣れちゃったや』
村の人たちを餌呼ばわりする彼らにコハクとふたりで呆れていれば、情報収集と称してスイカが村のみんなの欲しいものを聞き出しに行ってくれた。
その間にも、コハクやクロムは砂鉄採り、私と千空で新たなフーゴの改造を試みることになり、その日は結局夜まで作業が続いた。
夜になり、コハクとクロムで採ってきてくれた魚を有難く頂戴する。
食べながらスイカが一日かけて調べてくれた情報を教えてくれることとなった。
「まず、ガーネット、サファイア、ルビィのキラキラ三姉妹だよ」
どうやらコハクによると村一番の綺麗どころらしい。...というかこの村は全体的に女性のお顔のレベルが高くないかと思ってしまうのだけれど。
「三人がすっごく欲しがってるものは＿＿＿」
「この時代の科学で作れるモンだとおありがてえがな」
「彼氏だよ！」
「絶対科学じゃ不可能なのきた！！」
『わー...いつの時代も年頃の女の子って感じ...』
彼氏...彼氏かぁ。
チラッと横で絶望の顔をしている千空を見る。
今は色恋にうつつを抜かしている場合では無いことは分かってはいるけれど...千空はどう思っているのだろうか。
科学が恋人である千空に、どう足掻いても私が入れる余地なんてないのでは無いか。
あーダメダメだ...考えると止まらない癖辞めたい...。
「『おごってくれる人』つってる奴だけワンチャンあんな。何を欲しがってる」
どうやらあの三姉妹はそれぞれタイプが違うようで、イケメン、強い人、そしておごってくれる人がタイプらしい。
強い人、は千空には絶対無理だとはいえイケメンに関してはそこまで千空も悪くないと思うのだけれど...あ、そういうフィルター？っていうのかな。
恋は盲目ってよく言うけど、私もそんな感じ？
でもコハクだって千空の事を色男だと褒めていたしイケメンなのは事実だよね。
うん...何か自分で言ってて恥ずかしくなってきた。
「魚とかのお食事だよ」
あ、そっか。この世界だともう稲の文化も、加工食品の文化もとうに消え去ってるんだ。
そう考えると案外サクッと釣れちゃいそう...？
「ククク、さすがは名探偵スイカ様だ。アッサリ見えてきたじゃねえか。仲間をゲットするための、科学の餌がな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うらら | 作成日時：2023年3月18日 20時
