文学少女と科学少年30 ページ30
「さっき集めた黒い砂が鉄ってのになるんだね?」
充分な砂鉄を集め切り、その後は千空と私の二人で急いで製鉄路を作り上げる。
良かった、製鉄炉の仕組みは千空が昔説明したのを覚えている。記憶力は良い方だ、間違いない。
何日かは掛かったがようやく完成し早速燃やそうとする、がここで一つ課題。
「木ぃ燃やした火の温度ってのはせいぜいが700度ってとこだ。だが砂鉄を鉄にする。製鉄に必要な温度は__」
1500度。
この急いで作った頑丈もクソもない製鉄炉じゃ温度は足りないのは分かりきっている。...千空が作る時間が無いなら私が進化させてもいいのだが、なんせ私じゃ出来るのか不安だ。
「じゃんじゃん酸素ブチ込むしかねえ。ひっったすら空気送り続けて炎の攻撃力を700から1500にバイキルトさせんだよ!!」
フイゴを人数分ポポイと渡されて皆で酸素を入れるのを試みる。...でもそんな容易く行けるはずも、なく。
『づがれ"だ...』
スイカが流石に疲れてパタ、と地面に座り込みそれを合図に私も全身の力が抜けたように倒れ込む。
自分の体力の無さに幻滅する。年下のスイカと同じくらいの体力なんて、どんだけもやしなんだろう。もやし以下ではないか。
そこからは時間の問題だった。
体力が有り余っているコハクやクロムでも流石にこのキツさに嫌気がさしたのか死体のように倒れ込んでしまった。ダメだ、この人数じゃ、全く足りない。フイゴを大幅に改良したとしてもだ。
『人手が最優先になるのかな』
「ああ、アホほど人手が足りねえ。猫の手借りても足んねえくらいだ。A、記録出来るか」
『一応、必死に説得して銀狼だけの時に村から書けるものを持ってきてもらったけど』
「ククク、上出来じゃねえかA。銀狼はもうほぼゲットだな」
鉛筆のようなものと紙のようなものを銀狼に頼みに頼み込み、一応銀狼にはバレないように受け取ってきた。
手をフル回転させて実験の記録や詳細を鮮明に記録する。
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作者名:うらら | 作成日時:2023年3月18日 20時