文学少女と科学少年28 ページ28
「おおお、めっぽうたくさん付いてるぞ。怪しげな黒い砂が......！」
『砂鉄だね。細かく言えば違ってくるけど、大まかに言えば昨日説明した"鉄"の元になるものだよ』
翌日。早速昨日の磁石を元に砂鉄集めを開始する。懐かしいなぁ、よく小学校では砂鉄集めたりしてたけど。
砂鉄って、川の中にもあるんだ。基本は砂場からしか取らないからびっくり。
ちょびちょびと少ない体力を駆使しながら砂鉄を集めていると何やらどんぶらこと昔話の桃太郎のような流れ方でスイカが流れてきた。
千空たちはコハクにゴリラだのなんだの言って叱られているのかこのスイカに気付いていない。
え...と。中から赤ちゃん出てくる的なやつですか、これ。
とりあえずスイカを掴んでみるとビクッと跳ねてスイカから小学生くらいの女の子が姿を見せる。
『わっ』
「うぉお！？」
まさかスイカから女の子が出てくるとは思わずに、私はよろめいて尻もちを着く。いてて...服濡れちゃった。
千空たちも驚いたようだがそれは一瞬ですぐにコハクがスイカ少女に駆け寄った。
「スイカじゃないか、なぜここに。私たちについて来たのか？」
コクっと頷くスイカ、と呼ばれた少女。
名前は見た目のまんまなのね...でも...なんだか。
『可愛い...』
私もコハクと一緒に恐る恐るスイカの頭を撫でる。嫌そうにしてないってことは撫でてもいい...のかな。
3700年ぶりの小さい子だ〜...やっぱりいつの時代も可愛いな。小さい子って。
あ、今の発言はロリコンと捉えられるかな？旧現代だったらアウトだよね...気を付けよう。
「あー！てかスイカテメー俺の磁石勝手に持ってきやがったな！！」
クロムがスイカの手に持っていた磁石を奪い取り、私達はその磁石に砂鉄が付いてるのをみる。
何はともあれ、人手が足りなさすぎる科学王国にとってスイカが手伝ってくれるのは凄くありがたい。
私はありがとうの意味を込めて再び頭を撫でると顔は見えないがどこか嬉しそうに口を緩ませていたので凄く可愛い。
「スイカはいっぱい採るんだよ！黒い砂」
「桃太郎かよ！おぼれんなよ！！」
え。
ピタ、砂鉄を集める手が止まる。今クロムはなんて...？桃太郎...って。どうゆう...。日本の物語の御先祖と言える昔話は、もう3700年前には全て無くなったと、思ってたのに。
なぜクロムたちは知っている...？
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作者名：うらら | 作成日時：2023年3月18日 20時
