文学少女と科学少年27 ページ27
「おう、ならまずはこの鉄って奴からだ！てか何だ、鉄ってもろもろ教えてくれ」
「そこもそうそう楽じゃねぇぞ」
『一から授業...だね』
「千空、A先生の妖術...科学教室か。聞いても私には分からなそうだな」
とりあえず、これから科学を伝えていくためにも小さな説明は居る。
0からは何も始まらない。なら1から始めるしかないだけ。
うん、こっからが腕の見せどころってやつだね。
「マ・ジ・か・ヤベー！！」
...二徹目だっけ。そういえば。
道理で眠くて眠くて仕方がないわけだ。今にでもぶっ倒れちゃいそう。
と思えば横でドタンっという音とともに千空がぶっ倒れる。
やばい、力が抜ける。...と私も気が抜けたようにぶっ倒れる。
ひえぇ〜1から始めよう、なんて言ってかれこれずっと喋り続けて喉が干からびて死んでしまいそうだ。そして何よりもう体力が残っていない。
「地球の方が回ってんのかよヤベーーーー！」
「あ〜〜〜そ〜〜〜だよ〜〜もういいじゃねぇか」
「それはおかしいぞ。ならばなぜ私は今枝から放り出されないのだ」
『それは重力っていう...あー...えっと...さっき説明したやつだよ...多分』
頭が回らないどころか口もろくに喋れなくなってしまい、自分の限界を初めて知ったような気持ちになった。
寝転んでいる私の横で地軸のズレがどうだとか北極星が変わってるだとか磁石の存在とか諸々何か急に元気になった千空が楽しそうに話してるのを見て脱力する。
...すっごい元気だな、あの三人。
クロムとコハクは規格外として、千空もやはり科学のことになると底知れない体力が発揮される。普段はミジンコパワーの癖して、やはり根っこから科学を愛しているのだ。
末期だな。私も。
科学なんてもはや人ではなく個体そのものが存在する訳でもないのに。なのに、今猛烈に科学に嫉妬してる。
私も充分、面倒臭い。
『...でも、3700年の時を経て地形が結構変わってるんなら...アレがあると仮定して...つまり...』
「ブツブツ言ってねえで今日はさっさと寝ろ、明日もたくさん働いてもらうからな」
『明日...？何かあるの？』
「あぁ...クロムのお陰でな。磁石が見つかった。これで砂鉄をとる」
なるほど。
ロードマップの一歩目。
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作者名：うらら | 作成日時：2023年3月18日 20時
