文学少女と科学少年24 ページ24
『石灰石もあるんだ』
「おう！向こうの山で偶然見つけたんだぜ！！」
私が見つけた何気ない一言にドヤァという効果音が凄く似合うような顔で拾ったというクロム。
私は何かを考えるような仕草をした後、再び科学室を見渡す。
⋯石灰石と⋯あとあれがあれば⋯
「⋯」
「んあ？おい千空、何ボーッとしてんだ」
「いや、何でもねぇ。ククク⋯A！お前の出番だ」
何かを企んでいるのか、あまりよろしくない企み顔で私に耳打ちをする。
ああやはり、ろくな事では無い。
だが最善手はいつだって千空だと言うことを学んだので苦笑いを浮かべながらも、注文された石と焚き火でとても簡易的な三脚を作った。
『辰砂＿＿＿通称賢者の石。ハリー・ポ○ターでも出てくるからよく調べてたな』
「あぁ、Aサマも大好きなこの石は熱すると水銀が採れる」
千空はルールはルール、と一点張りの金狼の槍を水銀に砂金を溶かしてからべチャリとつけ込む。
突然のことに驚いた金狼に煙を吸うな、と釘を刺す。
そして出来上がったのが金の槍、というわけだ。
なんの役に立つ、という金狼の言葉に何の役にも立たねぇ、とバッサリ言う千空。怒るのではないかとヒヤヒヤしたが金狼は冷静に買収する気かと目的の意表をつく。
「金狼はムリだぜ、ルールはルールだしか言わねえ堅物だからな」
『⋯でも意外と⋯喜んではいるね』
わざわざ剥がす必要もない、とイチテンポ遅れて返事した金狼はどことなく嬉しそうだ。
あと一押し、とガッツを組む二人に心の中で金狼に申し訳ない、と謝る。
ただ千空に狙われた時点で手遅れだということも否めない。
私がその一人だったのだから。
「モンハンで素材ばっか集めてる奴みてえだなテメーはよ」
「モンハン？」
『分かるかっての』
再びクロムの科学倉庫に戻り、千空と私が気になるものを片っ端から物色する。
まずは村にはいるところから始めなきゃ、そしたら門番のあの二人が攻略対象⋯。
物色していたらふと、気になるものを見つける。
『センブリ、カンゾウ、オウレン⋯千空これって』
「全部漢方＿＿薬じゃねえか」
文学を読んでいたと同時に医学にも興味があったのでそういう系統の本を読んでいた時期はあったが⋯まさかこんな場面で役に立つとは。
クロムを見れば先程の元気な表情はどこへやら、大人しい表情だった。
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作者名：うらら | 作成日時：2023年3月18日 20時
