文学少女と科学少年22 ページ22
その日は結局そのまま暗くなってしまい、野宿をすることになった。
コハクは助けてくれたとはいえ見ず知らずの奇妙な二人の男女に警戒を溶けきれてないのか武器を持ったまま睡眠していた。
⋯こんな女子高生くらいの女の子、見たことない。
今までそれどころではなかった問題も段々と冷静になり見えてくる。
『ねぇ千空。コハクって、元現代人にしてはなんかこう⋯威勢があるって言うか⋯なんかまるで原始人みたい』
「まぁ、想定してないわけじゃなかったがな。明日様子を見るぞ」
『そうだね』
少し引っかかることがありながらもその日は就寝することにした。
翌朝。コハクが姉の為に温泉を運ぶと言って50Lはあるであろう水瓶にお湯を入れる。
コハク自身もまた、姉のことを姉者と昔の言い方をするあたりもうほぼ確信しているが。
しかしこれまた重そうな水瓶を何日も何日も⋯そりゃ強くもなる。
すごいな、やはり。一人のためにここまで出来る人に悪い人なんている訳が無い。
ただそれでは効率が悪いと考えたのか昨日作った滑車を荷車に改造しそのまま山を下る。
『う⋯酔う』
「吐くなら地面で吐け！」
久しぶりの乗り物で慣れずに乗り物酔いをして千空に背中を撫でられながら下っていると何か村らしき景色が見えてくる。
「＿＿着いたぞ、千空！！A！！」
「ようこそ私の村へ＿＿」
着いたと同時に荷車がぶっ壊れて外に放り出される私と千空。
だが転けた痛みよりも目の前に広がるものに目を奪われてそれどころではなかった。
チラホラ見える老若男女。そして住居と思わしき建物、あれは竪穴式住居？小島に浮かんでいる為、吊り橋までご丁寧にかけられている。
「何人いんだここに⋯」
「隠居と子供の数は忘れたがそれ以外だと確かちょうど40！」
すごい数⋯これだけの人数、一体どこから⋯？
千空のように復活した人が居るなら、もっと科学が伝わっているだろうし。
そして何より、今のコハクたちのレベルは精々縄文時代の後期レベル。
最も、現代文明とは程遠いのが現状だ。
千空も私もその事について考え込んでいたからか迫り来る二つの影に即座に反応出来なかったのだ。
コハクが私たちを守ってくれ、ようやくその正体に気付く。
何だ⋯この二人。門番⋯？のように見える。
「狼藉はやめろ金狼銀狼！私を救った恩人だぞ！！」
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作者名：うらら | 作成日時：2023年3月18日 20時
