そこにあるのは必然【Dr.STONE】 (ページ20)

今日:13 hit、昨日:71 hit、合計:28,043 hit

文学少女と科学少年20 ページ20

『次いつ会えるか分からないのにこんなにあっさりと...』

あの後仲良くお別れ会をする暇もなく、さっさと荷物をまとめて歩いていく千空に慌ててついてきたが本当にあっさりだ。

何週間、何ヶ月、はたまた何年と。

私たちが科学を発展させるまでは大樹とも杠とも会えない。

合理的主義者の千空とは言え、お別れくらいはしたっていいはずだ。

ああ、ダメだな。目覚めてから、涙ばかりが溢れてくる。弱くなってしまった。
一滴の涙が頬を伝った途端、背後から大樹の叫び声が聞こえる。

「千空ーーーー！Aーーーー！必ず...！！」

続きは言ってはいけない。司にバレたら即終わり。どうやら大樹もそれに気がついたようでただ力強く拳をこちらに向かって振り上げるだけだった。

それに千空も思うところがあったのか、首に念の為巻いていた当て木につけていた布をとり、旗として立たせる。

千の空に、その旗をなびかせて。

今、新しい物語が

始まるかのような予感が

私の中でしていた＿＿＿＿＿＿＿

・

・

果てしなく長く険しい道を歩き続けて数十分。塗装もされておらず、そこら中に生えまくっている雑草を掻き分けながら狼煙を上げた人物を探すのは、容易じゃなかった。

なんせ、今まで運動のうの字もやってこなかった私たちは、たとえこの世界に慣れたとしてもまだまだ体力がすごくあるとは言い難い。

息が切れては止まり、息が切れては止まりの繰り返しのせいで歩くテンポも遅い。こんなでは、先に狼煙を上げた人物がどこかへ行ってしまう。

隣にいる千空も同じ気持ちなのか今にも倒れそうなほど汗をかき、疲れ果てた顔をしている。本当に、どうしたものか。

『千空、確かここら辺に狼煙が上がって＿＿＿＿』

ようやくその人物が居ると思わしき場所周辺にたどり着いた瞬間に少し離れた場所の木が倒れていく。
なんだ、何かあったのか。

まさか司とその謎の人物との接触...？

だとしたら元も子も無くなってしまう...！！

千空と顔を見合せて急いで駆けていくとそこには見たこともないほど綺麗な女の子が居た。
私たち以外の...復活者...？

いや...それにしては色々と不審点がある。

でもそんなことどうでもよくなるくらい彼女は大変な状況だった。
なぜなら木の下敷きになっているのが一目で分かったからだ。

助けなきゃ、まずそう思った。