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文学少女と科学少年19 ページ19

フラッシュバックする。

千空が言っていた、細かい破損は繋がる。ということは


「Aちゃん!石化復活液......!!」

『ありがとう...杠!!』


残り少ない復活液を千空の首の石化部分にかける。最後の希望を託して。
パキパキ...と石化が解ける音がして私たちの気持ちは一気に高まる。


大樹が一生懸命声をかけている間、私はずっと千空の手を握る。まだ、冷たい。今にも居なくなってしまいそうなほど、冷たい。
まだ行かないで欲しい、まだ行って欲しくない。

お構い無しに降り注ぐ雨は私たちの暗い気持ちを更に暗くさせる。だが、諦めない。
私は諦めない。

たとえ貴方が向こうに行こうとしても、私が連れ戻す...!

千空の...科学の結晶で!!!


だからどうか...どうか今は...



『戻って...きて。千空!!』


その途端、何かのモヤが晴れたかのように雨が突然やんだ。そして、私が握っている手にもほんのりと体温が伝わっていく。

あぁ...あぁ...


「ククク...よーく首に気付きやがったな。ゴミみてぇな小さいヒントから。大樹、杠、A、テメーら三人に100億万点やるよ...!!」

『千、空...!!』


以前のように目に光が宿った会いたくて会いたくてたまらなかった人に大樹は感極まって思い切り抱きしめ、杠は涙を流す。

私が涙をこれでもかというくらい流していたせいか皆私の顔を見てくすくすと笑っていた。
きっと目がパンパンに腫れるんだろう。でも、今はそんなのどうだっていい。

会いたかった人にまた会えたのだから。



今の私にはそれだけで充分だ。


『...やっと暖かい手で握られる』

「せいぜい数十分だがな...これからは嫌という程握ってやるよ」

千空の、今までの努力が伝わる少しゴツゴツした手は私の涙をよりいっそう引き出すものだった。

千空は何も言わず、私の頭を撫でてくれる。心地いい...


ただ、奇妙な話で石化のせいで苦労しているというのに石化のおかげでまさか助かるなんてほんとにおかしいと思う。

大樹は医者代わりの命の石、Dr.STONEだと言っていたが確かにその通りだ。



千空がまた何かを考える仕草をして杠に何かを持ちかける。
どうやら話によると私たち四人は半分に別れてそれぞれのミッションをこなす。
大樹と杠は司の元でスパイ。私と千空は狼煙を上げた人物を仲間にする。

私については上手く二人が丸め込んでくれるそうだ。


これからは、別れて闘う。

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作者名:うらら | 作成日時:2023年3月18日 20時

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