文学少女と科学少年14 ページ14
しばらくそこに留まった後、道中に食べれるものがないか散策しながら歩き始めた。
料理が得意な杠のお陰で大抵は食い繋げられたため、食には特に困ることは無かった。普段食べないようなものばかりで、美味しかったのも事実だ。
そして再び歩を進めて今度は川を渡り、大樹が杠の足に石化が残っているのをみつけ復活液で石化を解く。
初めて見た石化を解く瞬間に釘付けになっていると千空が、石化が解ける時に細かい破損が繋がる、と話してくれた。
それを裏づける証拠、というのも何だが皆それぞれひび割れの形がある。私は左腕の手の甲から肩にかけてひび割れがある。
「疲労回復液につかりたきゃとっととゴール行くぞ!」
「もしかして箱根のゴールって_____」
私もその時点で察する。...というか今までなぜ気付けなかったのか不思議なくらいだ。いや、多分鎌倉大仏あたりまではゴールの場所を覚えていたと思う。
千空の顔が先程から見えない。というか、見られる気がしない。
石化前に何か言いかけていたような気もする。だけど曖昧だ。もし私の勘違いだったら、この広い大自然の中で逃げられる場所もないだろう。
...下手に何か言って気まずくなるのだけは避けたい。
「む?A、体調でも悪いのか?顔色が悪いぞ」
『え、うそ。別に大丈夫だよ』
歩くのに一歩遅れている私を気にかけてくれた大樹が私の顔色を見て心配そうに見つめる。顔に出ていたのか、私の悪い癖だ。
「体調が悪いなら早めに言えよA。なんせこの世界じゃ病気=死だからな」
『だから大丈夫だって』
千空に念を押されるが体調が悪い訳では無いし、むしろ3700年前より気分がスッキリしている。
私はなるべく先程の気持ちを考えないように蓋をする。昔から先程考えたことでも新しく考えたことに没頭してしまい、すぐ忘れてしまう性格だった。
文学を読む時だって気付いたら朝になってることなんて数え切れないほどあった。
それを今は歩くことに集中させればいいだけだ。
...着いた。
「着いたぞゴールに、温泉だー!!」
目的である場所に到着し、大樹が素早く簡易的な仕切りを作ってくれて男湯と女湯で分かれる。
千空と大樹は一年半ぶりくらいのまともな風呂だ。きっと私たちの数倍は温泉に漬かりたいはず。
だがやはり千空はそんなのお構い無しに素早くあがり、火薬の原料である硫黄を集め始める。
私も手伝おうと杠と大樹を二人きりにして温泉から出る。
74人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うらら | 作成日時:2023年3月18日 20時