そこにあるのは必然【Dr.STONE】 (ページ11)

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文学少女と科学少年11 ページ11

A side

ずっとずっと暗かった視界に光が差し込む。

久しぶりすぎて体が拒絶反応を起こしているがそんなの気にならないくらい、驚いた。
瞼をゆっくり開ければそこには私が会いたくてたまらなかった人物がいて。

熱すぎて溶けてしまうんじゃないかってくらい情熱がたぎった赤い瞳をして私を見てるこの人に。

会いたくてたまらなかった。ずっと。

何年、もしくは何千年たった日なのか分からないけれど。

一つ分かるのは

『あぁ...空って...こんな綺麗だったんだね。千空』

抱きとめられた千空の腕の暖かさを覚えながら見た

綺麗な空があり

私はまた

貴方の隣にいられるんだ。

「ククク...感動のシーンぶった切って悪いが、司が戻ってくる前に即決めろ！」

千空が起きたばかりの私を林に隠し、司に唯一知られてねえ存在だからな。バレないように隠れとけよ。とだけ伝えられて二本指を立てられる。

「道は二つしかねえ、どっちか選べ！プランA！大樹と杠、そしてAの三人で今すぐ逃げて、どこかで生きていく」

「プランB！全員で戦って司の殺人を止める。文明の武器の力で...！」
「即答だー！！」

大樹が千空の言葉を遮りプランBだと即答する。
もちろん杠も。
私は心の中で即答する。その司くんとやらがいつ来るか分からない状況なら、むやみに声を出すべきでは無いだろう。

起きたばかりでまだ寝ぼけている頭を必死に動かしながら考える。

「殺してるっていうのは、うん。捉え方の問題だね。間引いてるんだ、新しい世界の為に」

その場にいた一同が固まる。

まさかとは思っていたけど...その司が霊長類最強の高校生と呼ばれている獅子王司だとは。千空と大樹はこんなキチガイの強さを持つ高校生と対峙しようとしているのか。

...落ち着こう。

千空が何のために私を隠したのか、考えるんだ。

きっと今、皆は戦ってる。私はその為に何が出来る...何が。千空が私を隠したのはきっと、司くんとやらに私が唯一見つかってない存在であること。杠は見られたと千空が言ってたことから、それは間違いないだろう。

キャンプ地の方から、クロスボウと思わしきものを使って戦う千空が見えた。

...何も、出来ないのか。本当に？私は何も...

折角千空がこの世界に起こしてくれたのに、私は。

役に、立てない。