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文学少女と科学少年2 ページ2

「おぉ!千空!これが噂の如月Aか!!よく連れてきたな!」

『私、そんな噂になってるの?』

千空から取引を持ち出されてはや1週間。
彼の思うがままに取引を了諾して取引の内容を聞いた時は驚いた。

彼の思い描く世界があまりにも、彼ならいとも簡単に成し遂げてしまいそうな予感がしたから。

そんな、私の勘が言っていた。

「あー…噂によりゃ、変な呪文をブツブツ言うだとかクソみたいなこと言われてたけどな」

何だそれ、と思わず突っ込みたくなる噂だ。

やはり、噂というものは当てにならないのだな。千空が噂を微塵も信じていないことが根拠と言ってもいいくらいだ。


なぜ私がここに呼ばれたのかと問えば彼ら(と言っても二人)が率いる実験メンバーに千空が私を入れたいとの事だった。

大木大樹は小川杠を。

石神千空は私を連れてきたという感じらしい。

ただの文学好きの私を何故理科を使う実験メンバーに抜擢されたのか。それは至って簡単なこと。

千空が持ち出した取引内容だった。


”「俺の歴史的瞬間の記録をしろ、すげー唆るような文をお前が書け」”


確かに、地道な実験には記録が必要不可欠。

なるべく簡潔に、分かりやすく。

それが自分以外にできる人物を探していたのだろう、そうしてあの時出会ったのが、私だったという訳だ。

これだけ見ると、まさに運命だ。

そう千空に言えば、どんだけ不合理なんだと言われそうだけど。

「噂より全然可愛いじゃないか!よろしくな、A!!」

『えと、よろしく、大樹』


大樹って思春期というものを通らず生きてきたのかな。

なんでこうも小っ恥ずかしいことを言えるんだろう。しかも大声で。

千空が雑頭、と大樹を表していたが確かにそうなのかもしれない。

知り合って一週間の私でも千空が合理的を愛する人間だって知ってるから、尚更大樹みたいな良い不合理的な人間と友達なのがよく分からないままだったが、会話をしてみると何だが納得する。


「ワオ、この子が噂のAちゃん?」

「杠じゃないか!」

私と出会う人はみんな、噂の〜とつけないと気が済まないのか。

初めて出会った小川杠はとても可愛らしい女の子で手先が超絶器用なのだそうだ。

やっぱり男子はこういう女の子が好きなんだろうか。



……千空も?

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作者名:うらら | 作成日時:2023年3月18日 20時

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