ヒロイン6 ページ7
一時間後
医務室からようやく出てきた硝子は疲れ果てたように壁にもたれて地面に座った。
「一先ずは...安心」
その言葉に私と五条と夏油は胸を撫で下ろす。
反転術式の使い手である硝子が居なけりゃ詰んでた、本当に助かった。
「ありがとう、硝子」
「好きな奴くらい守ってやんなよ」
「全くその通りだ」
夏油と硝子が会話する横で五条はまだ心配そうに医務室で眠っている蘭を見つめている。
「俺...今日は医務室で寝る」
『は?寝るって...医務室で?』
「コイツの傍から離れたら、もう一生手の届かない場所に行く気がする」
震える手で蘭の元へ歩き、手を握る。
蘭の顔はまだ真っ青。血の気がない。
____まるで、眠った白雪姫のよう
『それなら、私も居る』
思わず口に出していたのは、こんな言葉だった。
三人はあっけらかんとこちらを見ていたが、やがて私と五条で蘭の様子を見ることになり、夏油と硝子は今日は疲れたため安静にすることになった。
医務室で寝ている蘭の横に椅子を二人分持ってきて座る。
『明日には、起きてくれるかな』
私の言葉に返事は無い。
『五条は、何でここに居るなんて言ったの』
またもや、私の言葉に返事は無い。
『やっぱり……好きだから?』
私の言葉に若干目を見開いた後、五条はそっぽを向いて今度は静かにこちらの質問に答えた。
「お前こそ、何でここに居るなんて言ったんだよ。俺が好きだとでも言いてえの?」
遂にこっちを見た五条の青く光った目と目が合う。
質問を質問で返すなと習わなかったのかと問いたくなったが次期当主だか何だかのご立派お坊ちゃんには関係ないか。
などと、場違いなことを考える。
『...はっ。何それ、有り得ない。絶対に』
有り得ない。いや、有り得ちゃいけない。
何で?私は今こうして好きでもない蘭のために医務室で蘭を見守ってるの?
友達だから?いいや。
心配だから?いいや。
____五条と一緒に居られるから?
『まさか、』
「そうだよな。まぁ、少なくとも俺お前から嫌われてたし」
嫌ってなんかない。蘭と五条を見て何となく距離を置き始めただけ。
入学初日のあの私は、もう捨てただけ。
あの日の、五条を見て鼓動が早まった私を、捨てただけ。
『嫌ってなんかない。むしろ__「ん......」』
声が被さる。五条のでは無い、第三者の声。
「悟...?」
蘭____
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ホワホワ - めっちゃ面白いです!更新待ってます!! (3月23日 15時) (レス) @page37 id: d16746353f (このIDを非表示/違反報告)
あやなみ。(プロフ) - うららさん» 初めまして、面白くて最高すぎて涙が出そうです💝、あのうららさんと会話したくてボードで会話するのは平気でしょうか?これからも応援してます (3月21日 20時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
nachu(プロフ) - 待ってましたあぁぁ!!次の更新も楽しみに待ってます❤️ (3月17日 21時) (レス) @page37 id: d62d5ed77b (このIDを非表示/違反報告)
LuNa(プロフ) - 更新きたぁぁぁぁ"!もうすぐ読みました!来た瞬間ヤッホーイですよ!😭本当に最高でした!…本当に大好きです!更新本当にゆっくりでいいんで、頑張ってください!!!無理しないでくださいね!!更新ありがとうございます!🎉 (3月17日 21時) (レス) id: de0c19e396 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - 櫻田たるとさん» 更新本当に遅くなって申し訳ございません🙇🏻♀️🙇♀️🙇🏼♀️ゆっくりになるとは思いますが必ず完結させます!! (3月17日 19時) (レス) id: 95fb161e69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うらら | 作成日時:2023年9月24日 16時