ヒロイン32 ページ37
振られた。
この四文字に、他の意味もクソもない。
思わず布団を剥いで起き上がると五条は鼻で笑った。
「やっぱ起きてんじゃねえか」
その言葉で大体察しは着いた
『はぁ……私を起こすための嘘、ね』
「ピンポーン」
五条は蘭が起きない程度にわざとらしく拍手をして私の方に近付いてきた。
「折角起きたんなら、恋バナでもするか？なんちゃって修学旅行」
『このくだらない茶番で進めるつもり？』
「くだらないとか言うなよなー。内容は大マジだっつの」
いつもより幾分かテンションが高い五条の会話についていくのは疲れる。とても。
本当なら早く寝たいところだが、如何せん寝かせてくれそうにもない。今の五条なら力づくでも自分の話を聞かせそうだ。
「つか、お前って恋する乙女って感じでは無ぇよな」
その言葉に半分腹が立ち、半分ほっとした。
＿＿＿＿ほっとしたのは、五条にこの気持ちが全然バレてないことに安心したから
『悪かったね。乙女じゃなくて。……これでも好きな人くらいはいるし』
「はぁ！？まじ……ぁ」
思わず大きな声を出してしまい、五条は慌てて蘭の顔を伺った。
どうやら深い眠りに入ってるようで起きてはなかった。
「なんで今まで教えてくんなかったんだよ。誰？高専のヤツら？それとも中学のやつとか？お前みたいなやつが好きになるって相当だな」
お前だよ。
そう言いたいのを抑えるので精一杯だった
確かに。私が好きになるやつなんて相当だよ。
なーんで人類最強とか言われてるやつなんか好きになっちゃったんだろ。
今までだって、高望みはしないつもりだった、全てにおいて。
でも仕方ないじゃん
気付いたら好きになってて
気付いたら勝手に失恋してて
でも気付いたら目で追う
『五条って……案外バカだよね』
「は？急になんだよ」
『好きな人、高専のやつ。...おやすみ』
それだけ言って再び私は布団に潜った。
はは……なんで。
バレたくないのに、絶対バレたくないのに
＿＿＿＿ちょっとはバレて欲しいと思う、この気持ち
あ〜……もう。五条だってそこまで鈍くない。
顔が熱い。部屋が暗くてよかった。顔見られてたら一発でバレてた。
……バレるのも時間の問題、だけど
いつ死ぬか分からないこの世界で
一番恋だの愛だの無駄なはずなのに……なのに……
私は半ば投げやりに眠りについた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2406人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ホワホワ - めっちゃ面白いです！更新待ってます！！ (3月23日 15時) (
レス) @page37 id: d16746353f (このIDを非表示/違反報告)
あやなみ。(プロフ) - うららさん» 初めまして、面白くて最高すぎて涙が出そうです💝、あのうららさんと会話したくてボードで会話するのは平気でしょうか？これからも応援してます (3月21日 20時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
nachu(プロフ) - 待ってましたあぁぁ！！次の更新も楽しみに待ってます❤️ (3月17日 21時) (レス) @page37 id: d62d5ed77b (このIDを非表示/違反報告)
LuNa(プロフ) - 更新きたぁぁぁぁ"！もうすぐ読みました！来た瞬間ヤッホーイですよ！😭本当に最高でした！…本当に大好きです！更新本当にゆっくりでいいんで、頑張ってください！！！無理しないでくださいね！！更新ありがとうございます！🎉 (3月17日 21時) (レス) id: de0c19e396 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - 櫻田たるとさん» 更新本当に遅くなって申し訳ございません🙇🏻♀️🙇♀️🙇🏼♀️ゆっくりになるとは思いますが必ず完結させます!! (3月17日 19時) (レス) id: 95fb161e69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うらら | 作成日時：2023年9月24日 16時
