ヒロイン28 ページ31
「悟!!」
やはりと言うべきか、お決まりと言うべきか、私は案の定ヒロインという肩書きを持った蘭に遮られてしまった。
言う権利すら与えてくれないのか、神様は。
頑なに入れない物語に私はもう要らない気がしてきた。
助けてもらったくせに助かったことを、後悔してる自分に嫌気がさす。
「って...Aちゃん!!良かったぁ、目が覚めたんだね!」
『うん。七海は何処?お礼言わなきゃ』
「さっき傑とどこか行ってるのは見たかなあ?」
夏油と?珍し。
そう思いながら私は立ち上がって温泉に入る準備をする。皆入ったのなら私も入ろう。なんか髪が海でギトギトしてるし。
『あー...五条。さっきの言葉は気にしないで。じゃ、後は若いお二人で』
「わ、若いお二人って何ぃ、Aちゃん!」
「...いってら」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうにする蘭とまだ何か言いたげな五条を置いて温泉に向かう。
そいえば、灰原と硝子はどこへ行ったんだろう。
硝子は酒かタバコとかかな。灰原は...想像つかん。
ま、考えるだけ無駄か。
______
___
温泉なんて久しぶりに入ったな。
幼少期くらいから行ってないし、今くらい嫌なこととか全部忘れてたっぷり浸かってやる。
露天風呂もこの時間帯は晩御飯時なのか人居ないし。
『贅沢だ』
「おお、生きてた」
『わ、硝子。まだお風呂にいたの』
てっきりお酒飲んでるんかと思ってたけど...と意外な目で硝子を見る。
だって私が入る一時間前に入ってたわけでしょ。
のぼせちゃいそうなもんだけど。
「違う違う。二回目。あんたが目覚めたって聞いたからちょっくら様子見ようと思って」
『しょ、硝子姐さん!!』
「はは、マジやめろ」
笑いながらガチトーンで言うの怖いわ、硝子。
_____そっかぁ。心配かぁ。
心配される人間なのか、硝子にとって私は。
『抱きしめていい?』
「一回一万」
『金取るのかよ』
露天風呂から見える夜景は絶景だ。
この夜景に身を任せてそのままポロリと本音がこぼれちゃいそうなくらいには。
『硝子はさあ。蘭のこと大好きじゃん?』
「なに急に。まあ...助けられたこともあったしね」
うん。知ってる。
今ここに来てる皆は全員が蘭に救われてる。だから皆蘭のことが大好きなんだよね。
「Aは違うの?」
『さあ...どうなんだろう。嫌いなんて言ったら、怒る?』
硝子はジッとこちらを見据える。
星が、綺麗だ。
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ホワホワ - めっちゃ面白いです!更新待ってます!! (3月23日 15時) (レス) @page37 id: d16746353f (このIDを非表示/違反報告)
あやなみ。(プロフ) - うららさん» 初めまして、面白くて最高すぎて涙が出そうです💝、あのうららさんと会話したくてボードで会話するのは平気でしょうか?これからも応援してます (3月21日 20時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
nachu(プロフ) - 待ってましたあぁぁ!!次の更新も楽しみに待ってます❤️ (3月17日 21時) (レス) @page37 id: d62d5ed77b (このIDを非表示/違反報告)
LuNa(プロフ) - 更新きたぁぁぁぁ"!もうすぐ読みました!来た瞬間ヤッホーイですよ!😭本当に最高でした!…本当に大好きです!更新本当にゆっくりでいいんで、頑張ってください!!!無理しないでくださいね!!更新ありがとうございます!🎉 (3月17日 21時) (レス) id: de0c19e396 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - 櫻田たるとさん» 更新本当に遅くなって申し訳ございません🙇🏻♀️🙇♀️🙇🏼♀️ゆっくりになるとは思いますが必ず完結させます!! (3月17日 19時) (レス) id: 95fb161e69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うらら | 作成日時:2023年9月24日 16時