ヒロインは二人も要らないのです【呪術廻戦】

ヒロイン18 ページ19

楽しくない。


時間は日を超えた辺りだろうか。

明日は休みということで皆ははしゃぎにはしゃぎ倒している。アドレナリンがドバドバなのか目もバッチリ冴えて、元気そうだ。

私はと言うと、数時間前の仮説が頭の中を延々と回る。


蘭が二重人格者？そんな事有り得る？

ただ単に性悪のクソ女で嘘ついてる可能性は？

＿＿＿いやそれ、ただの願望じゃん

うるさいなあ。

確かに、ヒロインが性格悪けりゃまだ救いようあるのにって思っちゃうよ。

だけど違う。

一年ちょっと一緒に居て分かる。本当に性格いいんだもん。

だからこそ、二重人格者説が有力になるというか…。


ずっとその事ばかり考えていたせいか、食べ物も何も通らずただ楽しそうにしている皆を眺めているだけだ。


「さっきからつまんねえ顔してんじゃねえよ」

ほっぺたに冷たい感触がして思わず飛び跳ねる。

『っ五条！あんたねえ、そうやって脅かすのやめて、色々嫌だ！』

「はあ？んだよ、折角お前の好きなファンタグレープ買ってきてやったのに」


あ、好きな飲み物知ってたんだ…。という感情と先程の顔が近かったことによるドキドキが急に押し寄せてきた。

最悪、ほんともう。何で急にコイツの顔面でドキドキしなきゃいけないわけ。


別に好きじゃないし。好きじゃない、はずだし。


ファンタグレープの缶を私の前に差し出す五条は不服そうだ。


「飲まねえの？」

『...飲む。ありがと』

五条から半ばひったくる形で飲み物の缶を開けてがぶ飲みする。

五条は何故か隣に座ったまま。

今私が座ってる席が、五条の席。

五条が座ってる席が、蘭の席。


ここでいつも授業を受けて、そして五条は度々蘭の方を見る。

気付いてないとでも思ってる？バレバレだよ。


『そっかー。五条の席の目線ってこんな感じなんだ』

「いうてそんな変わらねえだろ。Aの席と」

『いや、結構変わるんだなこれが』


全然違うよ。

こんなにも。


「なんかさぁ、俺お前が時々居なくなりそうで怖いんだよ。こうなんか、フラッと」

しばらくお互いが飲み物を飲むことに集中していた時、突然五条にそう言われた。

五条から初めて言われたそんな言葉に私は思わず耳を疑った。

『何それ。夏油も同じこと言ってた。私そんなに存在感薄い？』

「いや、むしろ濃い。けどなんか、なんつーか。危ねぇな、みたいな」


危ない。

そうなのか。私は危ないのか。


で？



それで、誰か助けてくれるわけでも無いのに？

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