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6.思考 ページ9

【太宰】
「ああー・・・。見誤ったなぁ・・・。」

午後7時。

昼間よりも人が減って何処か寂しげな武装探偵社社内。

何時もなら颯爽と(国木田くんの怒鳴り声を受け流して)家路に着く時刻だが、私は未だにぐったりとデスクに体重を預けていた。

「・・・貴様、今日は一体なんなんだ。何時もに増して行動が奇怪だし、帰ってきたと思ったらこれだ。そんな事をしている暇があったら溜まりに溜まった報告書を片付けろ。」

「国木田くん・・・実はだね・・・」


そう切り出して、今日の不思議な少年との一連を話す。

最初こそ怪しげに眉間に皺を寄せていたが、徐々に心配そうな顔に変わっていく。

く、国木田くんが私を心配している・・・!!

感動を覚えた矢先。

「太宰・・・、お前、少し休んできたらどうだ?」

「・・・え?」

「疲れているからそのような奇怪な幻覚に惑わされるのではないか?若しくは、入水のし過ぎで・・・」

「ちょ、ちょっと?私の頭がおかしくなったような言い方はやめてくれるかい?これは紛れも無い事実で・・・」

「わかったわかった、今日は特別に帰らせてやる。早く休んで疲れを取るべきだな。」

酷い・・・!

どうやら国木田くんは私が妄言を言っていると勘違いしているらしい。

流石に傷付く。

国木田くんはもう取り入ってくれなさそうだし、仕方がないから言われた通り帰ることにした。


Aくんのことが頭から離れない。

河原であった時の狂気的な笑みと言葉。

それでいて神様はいないと告げた時の実年齢より幼く見えた泣きそうな顔。

精神病患者?

いや、それにしては落ち着いている。

熱心な宗教信者?

それでいて神様に許されない何かをしたというのは考えにくい。


わからない。

かつて、ここまで頭を悩ましたことがあっただろうか。

疑問が生まれるばかりで答えは見つからない。

抑も、異能力者なのか?

「・・・だめだ、これ以上考えても無駄だね。今度無理矢理にでも聴きだすか、探偵社に連れて行って乱歩さんに見てもらおう。」

早く、その時が来ますように。


・・・この胸のざわめきが、気のせいでありますように。

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作者名:ミチコ | 作成日時:2018年2月18日 11時

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