五、彼女じゃないもの ページ8
輝side
彼女が出ていってからどれくらい経っただろう。
紅かった西日も、今は黄金の月へと姿を変えようとしていた。
早く帰らないと光に怒られてしまうなぁ…などと考えながらも、足は家へ向かわず、僕をその場に留まらせた。
ガラッと勢いよく扉が開く。
自身の問題を解決するために怪異を頼るなんて…そんな意味を込めた皮肉を彼女にぶつけると、彼女はらしくもない不気味な笑みを返してきた。
彼女らしくないんじゃない。
彼女じゃないんだ。
輝「…A」
久しぶりに口にした名でさえ、今の彼女には届かない。
美しい白銀の髪が真逆の黄金色へと変わる。
霊刀を構える。
すると、そんな僕の手を決して温かくない、むしろ氷のように冷たい手が包む。
｛そう身構えるでないぞ、雑種｝
輝「……何の用だ」
｛睨むでない。害を加える気はないぞ｝
輝「その言葉を信じろと？」
室内の空気が徐々に重くなっていく。
｛……なぜ、人という生き物は此奴に冷たいのだ｝
輝「お前が彼女を解放すれば解決する話だよ」
確かな敵意を乗せてそう告げた。
なのに"コイツ"は彼女の顔で柔らかく微笑んで見せた。
普段の彼女が決して僕に向けてくれない表情。
｛Aのこと…頼んだぞ…｝
そう呟かれた言葉に耳を疑う。
…コイツは彼女を恨んでいるんじゃないのか？
そんな疑問を口に出来ぬまま、黄金の髪が白銀へ戻る。
それを合図に気を失ったように眠りに落ちる彼女を受け止めて、抱き上げる。
"Aのこと…頼んだぞ…"
妖狐の言葉が頭をよぎる。
その声色と今腕の中にある彼女の寝顔を重ねる。
輝「まったく…世話がやけるな…」
でも、悪い気はしなかった。
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翼 - 続きが気になります！更新、楽しみにしてます！ (2021年4月18日 12時) (
レス) id: e6efe56fc6 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 面白いです！！更新頑張ってください！！ (2020年3月14日 12時) (レス) id: 8704b5e388 (このIDを非表示/違反報告)
イツキ(プロフ) - 若葉さん» 独り言みたいだからですか？ (2020年3月13日 22時) (レス) id: d483986195 (このIDを非表示/違反報告)
イツキ(プロフ) - 花っち�擦気�» ありがとうございます！！頑張ります！！ (2020年3月13日 22時) (レス) id: d483986195 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - なんか、狐と夢主ちゃんのお会話シーンみんなにとって厨二とおもったのは、私だけですか? (2020年3月13日 22時) (レス) id: 4dface175c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イツキ | 作成日時：2020年1月25日 20時
