#19. 万が一のおかげ ページ20
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「 でも、王弟派だらけになった王宮からよく一人で王様逃げられたね 」
「 一人ではない。Aも一緒だ。それに一臣__あの虎狼の巣である王宮にあって俺に忠を厚くする男がいる 」
その言葉に昌文君の顔を思い浮かべた。
政が幼い頃から教育官としてずっと一緒に居た文官だけど、若い頃は武官で戦にも出ていたらしい。
あの真面目で手堅い昌文君が味方に居るのと居ないのとでは大きく違う。彼の忠誠心こそまた、政の心を動かす原動力なんだろう。
「 昌文君…!漂を連れてったオッサンか! 」
数ヶ月前、昌文君が村へ降りて行った事があった。
何をする為かその時は知らなかったからお土産を強請ったら頭に拳を一発食らってしまった。あの人真面目だからね、手加減ってものを知らないんだよ。たんこぶ出来て本当に痛かったんだから!
そう言えば、元々国卑村は王宮脱出の際にバラバラになった時の為に合流する場所だった。
だけど、その道中で出会ってしまったんだ___政と瓜二つの少年に___
「 漂の出現で国卑村は脱出時の緊急合流地ではなく漂と入れ替わった俺の隠れ家となった。今回の脱出劇に自信があった昌文君にしてみれば、国卑村も漂といつ影も全て"万が一"の為だった。……しかしその"万が一"のおかげで俺はまだ生きている 」
「 ……… 」
「 ちょ……ちょっと待てよ……ま……万が一の為だと……? 万が一のおかげだと? 」
『 っ、信 』
低く唸る様な声が地を這って響く。
拳を震える様に握りしめる信には私の声は聞こえていないのだろう。
まずい……直感で悟った。
それなのに足に根が生えた様に動けない。
「 ふざけんじゃねェェ!!! 」
『 信!!! 』
「 !!! 」
「 お前ら漂の命を何だと思ってやがる!!! 漂の命をっ…!! 」
信の拳が政の顔面に直撃した。
それだけで終われば可愛いもんだ。何度も何度も拳を打ちつけるせいで皮膚と皮膚がぶつかる鈍い音が鳴る。
嫌だ……やめてよこんな所で、
心で叫んでも信の耳には届かない。
『 もうやめてっ、…!! 』
「 信!!やめろよ!!しっ…! 」
『 貂! 』
信に弾き飛ばされた貂が岩にぶつかって転んでしまった。慌てて駆け寄るけどもうそれどころじゃ無い。信を何とかしないと…このままじゃ、本当に政をっ…
「 やめろ信っ…それ以上やったら…王様死んじゃうよ!! 」
「 漂の敵だっ…!! 」
信が大きく拳を振りかぶった。
その時だった。
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しろ。(プロフ) - さりんこさん» はじめまして!コメント有難うございます。しろです。そんな風に言ってもらえてすっごい嬉しいです!!!更新頑張ります!! (2021年5月28日 5時) (レス) id: d967e47327 (このIDを非表示/違反報告)
さりんこ - はじめまして!!さりんこと申します。私もキングダムが好きでなかなか、キングダムの小説がなかったので、今回しろさんの小説読まして頂きまして、すごく面白いなと思いました。早く続きが気になります!!これからも頑張って下さい!! (2021年5月27日 23時) (レス) id: 409248fd34 (このIDを非表示/違反報告)
さりんこ - はじめまして!! (2021年5月27日 23時) (レス) id: 409248fd34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろ | 作成日時:2021年5月27日 19時