#16. 二人の関係 ページ17
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ぽた、ぽた、ぽた____
水の様な何かが地面に落ちる音がする。
ふと顔を上げると岩の断面から赤い血が雨の様に落ちていた。刹那、それがぽつりと頬を濡らす。
『 血…… 』
「 ひでェ…奴ら村中皆殺しにする気だ 」
地上はきっと血の海だ。
奪う事を躊躇わない兵達はそれが誰のものかも分からないまま、踏み付けにしているんだろう。自分にも同じ血が流れているのに。
余りにも不快だ。
人の命を何だと思ってる。
「 おいガキ、お前家族とかいいのか?上で殺されてるぞ 」
「 そんなのいない 」
「「『 !!……… 』」」
「 ところでさ、信も王族が何かなのか? 」
「 は?んな訳ねェだろ 」
「 だよな。どう見ても
「 悪かったなっ!!! 」
二人の会話をぼんやりと聞きながら、私も前に進む。
さっきの貂が言った事が少し気になっていた。
足を踏み出す度にぽた、と誰の物かも分からない血液に染められていく。
「 じゃあ何で王様相手にタメ口なんだ?態度も悪いし 」
「 おっ、お前だってそうじゃねェか!! 」
「 オレ?オレはいいの。その人はオレの王様じゃないから 」
『 ……?どういう事? 』
「 オレは秦人じゃない。はるか西の山民族だ 」
『 !?本当に……? 』
「 何故か知らないけど一族が山を追放になって国卑村に流れ着いたらしい。もう皆んな死んじまったけどね 」
「 山民族!へーはじめて見た 」
「 あ、今お前ちょっと俺を下に見たな山民族なめんなよ一発殴らせろ 」
「 オ?チビなんだ?やんのか? 」
『 山民族…… 』
反芻したその言葉は、ストンと腑に落ちる様に体に収まった。そんな私を察したのか政が貂から松明を奪った。
「 遊んでないで急ぐぞ 」
ちらり、と目が合うと直ぐに逸された。
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「 ところでさ。アンタは何で王様と一緒にいるの? 」
『 え?私? 』
「 うん 」
突然話を振られて振り返る。
ミノムシを被っているせいか表情が分からなくて意図が読めなかったけど、声色からしてただの興味本位だろう。
『 うーん……友達だから? 』
「 えっ、じゃあアンタも王族なのか!? 」
『 ううん?違うよ? 』
「 え? 」
訳が分からないって声色だ。
困惑した声が聞こえて苦笑いした。
私達の関係は、凄く曖昧で脆いから、本当に何て説明すればいいか分からないんだよね。
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しろ。(プロフ) - さりんこさん» はじめまして!コメント有難うございます。しろです。そんな風に言ってもらえてすっごい嬉しいです!!!更新頑張ります!! (2021年5月28日 5時) (レス) id: d967e47327 (このIDを非表示/違反報告)
さりんこ - はじめまして!!さりんこと申します。私もキングダムが好きでなかなか、キングダムの小説がなかったので、今回しろさんの小説読まして頂きまして、すごく面白いなと思いました。早く続きが気になります!!これからも頑張って下さい!! (2021年5月27日 23時) (レス) id: 409248fd34 (このIDを非表示/違反報告)
さりんこ - はじめまして!! (2021年5月27日 23時) (レス) id: 409248fd34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろ | 作成日時:2021年5月27日 19時