同居人が顔面の良さと色気爆走させてる【赤井秀一】 (ページ30)

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「え？同時に2人の人を好きになった事があるかって...？」

「はい。安室さんって経験豊富そうだし
　もしかしたらそれも経験済みかなって思って」

喫茶ポアロのカウンター席で
ハムサンドにかぶりつきながら安室さんにそんな事を問いかけてみた。

安室さんは目を丸くさせると、暫くしてからハハッと吹き出すように笑った。

なんやその笑顔....イケメンやんか。

「僕の事は良いじゃないですか
　そんな質問をされたと言う事は、あなたがそのような状況に現在立っていると言う事じゃないんですか？」

「.....違う」

「相変わらず嘘が下手ですよ、Aさん」

「違うしー、しー、しー、」

冷や汗を流しながら口をとんがらせて目を逸らせば安室さんはめっちゃ笑ってる。

余裕ぶって、語尾をふざけてみるものの
彼にはお見通しみたいだ。

「その片方が僕なら
　この話に花を咲かせる事ができるんですが...
　その様子だと、全くもって違うようだ」

「どんな様子してました？私」

「金魚鉢の中にいる金魚ですね」

「失礼な」

せめて水槽の中にしてくれよ。

「そんな狭い場所にこもらず、もっと選択肢を広げてほしいという意味も込めてますよ」

「どゆ意味？」

「...全く、あなたには敵いませんね」

なんか呆れた表情浮かべてますけども
私悪くないでしょ、絶対。
もっと分かりやすくハッキリ言ってくれよな。
理解するのが難しい言葉態々並べてんのあなただかんな。

「おっちゃんはどう？」

「あ？俺か？」

隣で新聞紙を広げ見ながらコーヒーを飲む毛利小五郎事おっちゃんに質問をずらしてみた。

急な振りをされたのにも関わらずまんざらでもなさそうだ。

「.....まぁ、な。」

「なにその意味深に思わせる気満々の一言は」

なんかドヤ顔やし。

まぁおっちゃんの恋愛事情なんて別に詳しく聞きたくないし寧ろ良いわそれで。

「....まぁでも
　2人を同時に好きになった事で
　自分が思ってる以上の本命の大切さや愛の深さに
　いずれ気づく事ができる」

「そうですね
　今はそれで良いんじゃないですか
　付き合ってるわけでもないんですし」

ーーーーーあれから、月日が経った。

彼と会う事はないまま。

彼の事は忘れられず
眠りにつこうとする度に何度も思い出す

「おやすみ、姫」

あの、甘い言葉を。